人気アニメ主題歌を生み出す彼ら
アニソンを何曲も歌っているFLOWの楽曲『DAYS』。2005年の曲。アニメ「交響詩篇エウレカセブン」のOP主題歌です。オリコン最高順位3位と彼らの曲の中でも好記録をもたらした楽曲。
ちなみにこの翌年に彼らが出した「コードギアス」主題歌『COLORS』は2位を記録しています。
交響詩篇エウレカセブン、通称エウレカはロボットアニメ。ボーイミーツガールで結構な人気があった為に続編も制作されています。
この曲はそんなエウレカの作品のイメージに見事にハマっていました。特にストリングスのアレンジが印象的。
このストリングスのメロディに合わせて主人公レントンが画面右側から空中サーフィンで飛んできて、続いて画面左側から飛んでくるロボットニルバーシュと共に空高く飛んでいくOP映像が、エウレカの世界観を端的に視聴者に理解させました。
DAYS
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色褪せた景色を 風が流れてゆく
思い出は そっと甦る
≪DAYS 歌詞より抜粋≫
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アニメのオープニングではイントロに続いてこの歌詞が来ます。この歌詞は実は2番の歌詞。
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涙色の空を 僕は見つめていた
悲しみの波が押し寄せる
≪DAYS 歌詞より抜粋≫
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1番の同じ個所の歌詞はこっち。悲しみの要素が強い歌詞です。
アニメのオープニングでは「蘇る」という肯定的な、プラスのイメージを持った2番の歌詞が使われたのでした。
エウレカは悲しい展開も多い物語ですが、根底にある「少年少女の成長物語」の要素をオープニングで表現したかったのだと思います。
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あの日交わした約束は砕けて散った
激しく儚い 記憶のカケラ
≪DAYS 歌詞より抜粋≫
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約束が砕け散るという歌詞は物語の上で、色々な喪失があることを暗示させています。
「激しく儚い記憶のカケラ」というのも長い物語の中で様々な登場人物が交差し、欠片のように物語の「記憶」を作っていくことを暗示しているのです。
2人の絆を描いた歌詞
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たとえ二人並んで見た夢から覚めても
この想い 忘れはしない ずっと
≪DAYS 歌詞より抜粋≫
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そしてこの歌が最もエウレカらしいのサビのラストの部分。この歌詞が特にこのアニメのイメージに合っています。
この歌詞の部分で主人公レントンとヒロインエウレカのつなぐ手がアップになります。
「二人」はレントンとエウレカを指し「並んで見た夢から覚めても」は二人が直面する現実で困難な目にあうことを暗示する歌詞。しかし困難なことがあっても「この想い忘れはしない ずっと」という歌詞で二人の絆が続くことを示します。
アニメOPではさらに「追憶の日々が照らす 今を」の歌詞もラストにダメ押しで入れて「少年少女」の「今」の物語であることを強調しているのです。
こうして巧みに「歌詞の使いどころ」を考えて作られたOP映像はエウレカの世界観を端的に表現しました。これはアニメ制作者の力であると同時に、OPを歌ったFLOWの力でもあるのです。
TEXT 改訂木魚(じゃぶけん東京本部)