今大人気のCMシリーズ、auの三太郎。桃太郎を松田翔太、金太郎を濱田岳、浦島太郎を桐谷健太が演じ、これに乙姫の奈々緒、かぐや姫の有村架純、鬼の菅田将暉が加わるCMシリーズです。CM好感度で首位を獲得しました。そんなこのCMシリーズの2016年の幕開けを飾ったのが『春のトビラ・みんながみんな英雄篇』。AIが力強く歌う曲と共に三太郎達が様々な昔話に参加していきます。
このAIが歌う曲。もともとのメロディーはオクラホマミキサー。正確には、オクラホマミキサーはダンスを指し、そのダンスで流れる曲タイトルを『藁の中の七面鳥』と言います。1830年代にアメリカで生まれた曲で作曲者は不明。日本ではこのメロディが運動会やフォークダンス、CM等でよく使われている為、メロディだけを聴いたことがある人も多いと思います。だからこの曲は新しいのに懐かしい感じがするんですね。
そんなこの曲のいわば「替え歌」を作詞したのは、家庭教師のトライ等も手掛けるCMプランナーの篠原誠。このCMシリーズの生みの親です。
“特別じゃない 英雄じゃない みんなの上には空がある
雨の日もある 風の日もある たまに晴れたら
まるもうけ 振り向けば 君がいる 前向けば 友がいる”
AIが歌う壮大なアレンジ。「特別じゃない 英雄じゃない みんなの上には空がある」というフレーズではじまる歌詞は『みんながみんな英雄』というタイトルとは裏腹に、全ての人に向けたメッセージになっています。そもそもauと英雄をかけているCM。しかし特別な人でなくても英雄(au)ではなくても、どんな人の上にも空が広がっている=人生に様々な可能性があることを示唆しています。
「雨の日もある 風の日もある たまに晴れたら まるもうけ」というフレーズも「空」にかかっています。辛いことが雨のように風のように毎日のようにあるけれど、たまにいいことがあればそれだけで素晴らしい、という歌詞。
これはAIの歌唱力があるからこそ説得力を増していると言えるでしょう。AIはディズニー映画『ベイマックス』の主題歌にもなった『Story』や、クリスマスシーズンのコカ・コーラCMで流れる『ハピネス』などで知られています。「ひとりじゃないから~」や「君が笑えば~」といったフレーズのこれらは、いずれも友情や愛情を感じさせる曲。多くの日本人は、あのAIの声に自然と「絆」の要素を感じているわけです。
だから「振り向けば 君がいる 前向けば 友がいる」というフレーズが説得力をもってくるんですね。このあたりからコーラスも入ってきて、曲自体も複数を感じさせる音になります。より壮大で「君がいるよ友がいるよ」というメッセージが強くなる構成。
“あした あさって しあさって あたらしい未来が やってくる”
極め付けはラストのフレーズ。「あした あさって しあさって あたらしい未来が やってくる」この前の「あたらしい明日」のフレーズもそうですが、「あ」の音を重ねてリズムを作っています。これで自然と聴く者に「新しい明日」という前向きなイメージが湧くんですね。更に意図的にひらがな表記にしています。それだけまっさらな気持ちにうったえている歌詞。
有名なメロディをAIが壮大に歌う。この歌詞とアレンジはシンプルながらよく考えられています。三太郎の友情を感じつつ、明日から自分も頑張ろうという気にさせる歌。人気なのも納得です。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)
今大人気のCMシリーズ、auの三太郎。桃太郎を松田翔太、金太郎を濱田岳、浦島太郎を桐谷健太が演じ、これに乙姫の奈々緒、かぐや姫の有村架純、鬼の菅田将暉が加わるCMシリーズです。CM好感度で首位を獲得しました。そんなこのCMシリーズの2016年の幕開けを飾ったのが『春のトビラ・みんながみんな英雄篇』。AIが力強く歌う曲と共に三太郎達が様々な昔話に参加していきます。
更新日:2022年5月10日