DOESは3人組のバンド。かなり男くさい魅力をはなつグループです。DOESの『バクチ・ダンサー』はアニメ『銀魂』の映画版『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』の主題歌。2010年の曲。アニメ『銀魂』は週刊少年ジャンプで連載中の漫画原作。架空の幕末・維新を舞台にしたSF人情コメディです。基本ギャグが多いアニメですが、シリアスな展開もあり、この『バクチ・ダンサー』はそんな『銀魂』のシリアス面とマッチした曲。この曲でDOESはミュージックステーションにも出演しました。
『銀魂』とDOESは非常に相性が良く、2007年のED曲『修羅』、2008年のOP曲『曇天』に続くDOESとしては3本目のタイアップ楽曲提供になります。
「想像するより現象を骨身の髄に刺せよ 血潮が錆びる前に」このフレーズがまず良いですね。想像するより現象を、要するにリアルな感覚を大切にしたいという意識を歌っています。「刺せよ」という単語で『銀魂 新訳紅桜篇』が呪いの剣をめぐる物語であることを示しています。「血潮が錆びる前に」というのも主人公坂田銀時のスタンス。かつて戦場で戦い白夜叉と恐れられていた銀時が、現在はかぶき町で平和に暮らしているストーリー。いざ戦う時になると「錆びていない」銀色の魂で周囲の者を守ろうとするのです。
そしてこの歌詞はまた、このバンドが骨身の髄にくる感覚、血潮といった肉体的なことを重視していることを示しています。
「春風に磨かれて 燃え盛る薄ら紅 衝動の影にやられた 驀地ダンサー(踊ろうよ)」 サビで「春風」「薄ら紅」という映画『紅桜編』のタイトルにかけた単語が出てきます。紅桜とは劇中に出てくる妖刀の名前。この妖刀を持つ敵に、銀時が戦いを挑むのが物語のハイライトになっています。
そしてタイトルの「バクチ・ダンサー」の登場。字は「驀地」があてられています。『バクチ・ダンサー』とは、もともと「博打」の意味のタイトル。さらに「驀地」=まっしぐらの意味も込めているので、カタカナ表記になっています。まっしぐらに踊っているのはアニメの中の登場人物達。そしてバンド自身であり、聴いて踊ってくれているリスナー。音楽という博打に近いような道を、衝動にかられてまっしぐらに進む。そんなバンドの姿勢、その音楽を聴いている者と、自分の進む道にまっしぐらな『銀魂』の登場人物達の姿を重ねているタイトルだと言えます。
歌詞がバンド自体を表現していて、かつ『銀魂』にハマっているこの曲。バンドのスタンスとして無理にアニメに合わせているわけではないといいます。それでもうまくハマるのは根底に共通するものがあるからなのでしょう。ちなみにDOESのメンバーと『銀魂』原作者空知英秋は、くしくもほぼ同世代です。
そして2016年、DOESは『KNOW KNOW KNOW』で『銀魂』4度目の採用を果たしました。この曲も現在のアニメシリーズのシリアス展開にハマっているので、やはり「魂」で共鳴しているところがあるんですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)