「言葉にできない」はオフコースの曲
『言葉にできない』は、オフコースが1981年にリリースしたアルバム『over』に収録されている楽曲です。
今はハイレゾシングルとしても配信されています。
オフコースは小田和正がリーダーを務めていたバンドですが、1989年に解散しているため、若い世代にはあまり知られていないかもしれませんね。
『言葉にできない』はソロアーティスト・小田和正のベストアルバム『自己ベスト』にも収録されているため、“小田和正の曲”として認識している方も多いでしょう。
実は『言葉にできない』は、オフコースから盟友の鈴木康博が脱退し、バンドの解散を考えていた時期につくられた楽曲です。
今回はこういった制作当時の背景を踏まえて、『言葉にできない』の歌詞の意味を考察します。
小田和正が歌詞に込めた思いとは?
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果たせぬ
あの頃の夢は
もう消えた
誰のせいでもない
自分がちいさすぎるから
それが くやしくて
言葉にできない
≪言葉にできない 歌詞より抜粋≫
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「果たせぬ あの頃の夢は もう消えた」という歌詞は、夢をもって活動してきたオフコースが解散に向かっていることを表現したと解釈できそうです。
「自分がちいさすぎるから」と自責するような言葉もあります。
バンドの解散を考えるなかで、リーダーである自分を責めてしまうこともあったのかもしれませんね。
バンド活動が終わりに向かうことに対する悔しさとやりきれなさ、盟友が脱退する哀しさを「言葉にできない」という歌詞に落とし込んだのではないでしょうか。
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もう今は
あなたに会えて
ほんとうによかった
嬉しくて 嬉しくて
言葉にできない
≪言葉にできない 歌詞より抜粋≫
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続きの歌詞は「もう今は」という言葉から始まります。
バンド活動を続けられないくやしさや盟友が脱退する哀しさを乗り越えたとき、「あなたに会えてほんとうによかった」と思えたのかもしれません。
「あなた」はバンドメンバーや、バンド活動を通して出会えた仕事仲間、ファンたちのことだと考察できそうです。
くやしさや哀しさは言葉にできないほど大きな感情でしたが、出会えたことの嬉しさもまた言葉にできないほど大きい。
歌詞を考察すればするほど、作詞作曲をした小田和正にとってオフコース、そして盟友である鈴木康博は、かけがえのない存在であることが伝わってくるようです。
「言葉にできない」感情は人それぞれ
今回はオフコースが解散に向かっていた当時の状況を踏まえて歌詞を考察しましたが、『言葉にできない』の歌詞はいろいろな解釈ができます。
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ひとりでは
生きてゆけなくて
また 誰かを愛している
こころ 哀しくて
言葉にできない
≪言葉にできない 歌詞より抜粋≫
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この歌詞を見ると、失恋ソングとしても聴けそうです。
家族や友人など、愛する人を亡くしたときにも「こころ 哀しくて 言葉にできない」という歌詞は、心を優しく包んでくれるかもしれませんね。
くやしさ、哀しさ、愛…言葉にできない感情は人それぞれで、どのような感情をもって聴くかによって、歌詞の解釈は変わるでしょう。
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la la la・・・・・・
言葉にできない
あなたに会えて
ウーウーウーウー
≪言葉にできない 歌詞より抜粋≫
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音楽は言葉にできない感情を表現できます。
「la la la...」や「ウーウーウーウー」といった歌い方は、言葉を持たないながらも声とメロディーに感情を込めることができます。
“言葉にできない感情を表現できる”という音楽の魅力を大胆に活かした作品だからこそ、名曲として多くの人々に愛され続けているのかもしれませんね。