森山良子・BEGIN・夏川りみによって世に送られた名曲「涙そうそう」
音楽の教科書にも掲載されている『涙そうそう』は、別れの歌や卒業ソングとして幅広い世代から愛されている楽曲。
2001年に夏川りみがリリースした曲として有名ですが、もともとは歌手の森山良子と沖縄出身バンドのBEGINが手掛けた楽曲で、森山・BEGINそれぞれのバージョンも存在します。
楽曲がヒットして以降も、五木ひろしや徳永英明など多くのアーティストによって『涙そうそう』はカバーされ続けてきました。
そんな時代を超えて愛される名曲『涙そうそう』の歌詞の意味を考察していきましょう。
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古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた
いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ
≪涙そうそう 歌詞より抜粋≫
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歌詞は、主人公が古いアルバムを眺める場面から始まります。
作詞を務めた森山良子は、23歳の若さで亡くなった兄を思って『涙そうそう』の歌詞を書き上げたそう。
そんなエピソードや「古いアルバム」という言葉からは、主人公がもう会えない人に対して「ありがとう」と伝えていると解釈できます。
楽曲タイトル「涙そうそう」の意味は?
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晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶ あの笑顔
想い出 遠くあせても
おもかげ探して よみがえる日は 涙そうそう
≪涙そうそう 歌詞より抜粋≫
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晴れや雨は心の状態を表していて、「晴れ渡る日」=「嬉しい日」、「雨の日」=「悲しい日」などと捉えられそうです。
アルバムをめくりながら思い出すその人は「嬉しいことがあれば1番に伝えたい」「辛いことがあれば相談したい」といった大切な存在だったのかもしれません。
たとえもう二度と会えなくても、記憶の中でその人の思い出は生き続けているものでしょう。
楽曲タイトルでもある『涙そうそう』(なだそうそう)は、沖縄の言葉で「涙がぽろぽろこぼれ落ちる」という意味。
大切な人と過ごした日々を思い返しながら、目に涙を浮かべる主人公の姿が思い浮かぶのではないでしょうか。
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一番星に祈る それが私のくせになり
夕暮れに見上げる空 心いっぱいあなた探す
悲しみにも 喜びにも おもうあの笑顔
あなたの場所から私が
見えたら きっといつか 会えると信じ 生きてゆく
≪涙そうそう 歌詞より抜粋≫
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1番サビの「晴れ渡る日」や2番の「夕暮れに見上げる空」など『涙そうそう』は空に関する言葉が多く登場するのも印象的です。
「人は死ぬと星になる」という言い伝えを耳にしたことがある方も多いでしょう。
主人公は夜空に輝く一番星に、相手の姿を重ねているのかもしれません。
「あなたの場所から私が見えたら」の歌詞からは、天国から自分のことを見守っていてほしいという主人公の想いにも汲み取れます。
主人公の心情を考察!
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晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶ あの笑顔
想い出 遠くあせても
さみしくて 恋しくて 君への想い 涙そうそう
会いたくて 会いたくて 君への想い 涙そうそう
≪涙そうそう 歌詞より抜粋≫
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終盤の「さみしくて」「恋しくて」「会いたくて」の歌詞からは、寂しい感情を抑えきれない主人公の様子が想像できます。
ただし、そんな感情を示す言葉の後に続くのは『涙そうそう』。
おそらく、主人公は寂しい想いを誰かに打ち明けるのではなく、1人で静かに泣きながら堪えているものと読み取れます。
その背景には、天国の相手を心配させまいという想いが働いているのかもしれません。
寂しさに耐えながらも「生きてゆく」と誓う姿に、主人公の強さを感じられそうです。
『涙そうそう』というたった一言ではありますが、主人公の内で渦巻く感情を的確に捉えた言葉だと考えられますね。
大切な人を思い浮かべながら聴きたい曲
夏川りみ『涙そうそう』の歌詞の意味を考察しました。誰かを思う気持ちを描いた歌詞と三線の懐かしい音色によって、聴きながらつい自身の大切な人を思い浮かべてしまう方も多いのではないでしょうか。
2022年は沖縄の本土復帰50年目にあたり、『涙そうそう』も沖縄と縁が深い楽曲として再び注目を集めています。
小さい頃によく聴いていたという方も、改めて歌詞を見ながら名曲を噛み締めてはいかがでしょうか。