東リべ2ってどんな映画?
SUPER BEAVER(通称・ビーバー)の新曲『グラデーション』は、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』の主題歌として書き下ろされた楽曲で、作詞作曲は柳沢亮太です。同曲の歌詞を考察するにあたり、まずは映画のあらすじをご紹介します。
映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』とは、和久井健作のコミック『東京卍リベンジャーズ』を原作とする実写映画作品です。
2021年に公開された1作目の続編で、“血のハロウィン”のエピソードを前編“運命”と後編“決戦”に分けた2部作で濃密に表現しています。
後編“決戦”の舞台は、東京卍會(主人公の所属する暴走族)崩壊の危機をもたらす、かつての親友同士の壮絶な戦いである血のハロウィンと呼ばれる決戦です。
主人公・タケミチは、元カノ・ヒナタが凶悪化した東京卍會によって殺される最悪の結末を変えるべく、決戦が起こる前の過去にタイムリープ。
『グラデーション』を主題歌とする前編“運命”では、過去にタイムリープしたタケミチが、なぜ決戦が起きてしまったのか、その運命を目の当たりにしていきます。
そこで明らかになったのは、東京卍會結成メンバー6人の絆を引き裂いた過去の悲しい事件の存在。
交錯する過去の悲劇と分裂していく仲間との絆を描くストーリーとなっています。
仲間を想う心情が表現された歌詞
映画のあらすじを踏まえて、『グラデーション』の歌詞を考察していきます。
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嬉しそうな顔が見たいよ
助けたいし 時には許したい
声荒げて 責めても仕方ない
ひどく傷付けるなら 堪えたい
≪グラデーション 歌詞より抜粋≫
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『グラデーション』の歌詞は、「嬉しそうな顔が見たいよ」という柔らかな言葉から始まります。
『東京卍リベンジャーズ』という作品において、凶悪化する前の東京卍會は、仲間のために命を張れる最高のチームでした。
この柔らかな歌詞は、お互いを思い合う東京卍會のメンバーそれぞれの心情を表現していると解釈できるでしょう。
また、暴走族の世界が舞台となっており、怒号が飛び交い、殴り合うシーンの多い作品のため、続きの「声荒げて 責めても仕方ない ひどく傷付けるなら 堪えたい」という歌詞が印象的に響きます。
『東京卍リベンジャーズ』に登場するのは、すぐに手が出てしまうような、荒々しく、不器用な若者たちですが、本当はとても仲間思いです。
この歌詞は、そんな彼らの優しい一面を表現していると考察できるでしょう。
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そんな気持ちは嘘ではなくて
でも気持ちはひとつでもなくて
行き場を失くした憤りに
溺れそうになったとき
掴むのは 信念か 身勝手か
思いやりか 自己犠牲か
僕ら笑い合いたいだけ
≪グラデーション 歌詞より抜粋≫
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「嬉しそうな顔が見たいよ」「ひどく傷つけるなら 堪えたい」、そんな気持ちは嘘ではないものの、その気持ちだけでもない。
“時に憎しみや恨み、憤りを相手に抱いてしまうことだってある”、そんな叫びが聞こえてくるような歌詞ですね。
血のハロウィンと呼ばれる決戦が、かつての親友同士の壮絶な戦いであることを踏まえると、「行き場を失くした憤り」という歌詞が、映画のストーリーにぴったりと重なってくるでしょう。
最後の「僕ら笑い合いたいだけ」という歌詞の悲痛さが胸を突き刺します。
お互いに想い合っているはずなのに、ひとつではない感情が複雑に絡み合い、人間関係がもつれていくことの苦しさを思うと、やるせない気持ちになります。
「ごめんね」と「ありがとう」を考察
続きの歌詞について考察していきます。
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それは
ごめんねに込めた ありがとうのよう
ありがとうに込めた ごめんねのよう
≪グラデーション 歌詞より抜粋≫
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「ごめんね」と「ありがとう」という二つの気持ちがあったとしても、両方伝えられるとは限りません。
「ごめんね」は言えても、「ありがとう」は恥ずかしくて言えなかったり。
相手に酷いことをしてしまったからこそ、「ありがとう」と言える立場になかったり。
逆に、「ありがとう」は言えても、プライドが邪魔して「ごめんね」が言えなかったり。
相手に「謝らないで」と言われて、「ごめんね」を心の中にしまうしかなかったり。
環境的あるいは精神的な状況によって、心情をそのまま言葉にできないことがあります。
そんなとき、私たちは別の言葉にその思いを込めて伝えようとするのかもしれませんね。
『東京卍リベンジャーズ』では、登場人物たちの様々な思いが交錯します。
「助けてくれてありがとう、助けてもらえなくてごめんね」
「助けられなくてごめんね、愛してくれてありがとう」
「心配させてごめんね、心配してくれてありがとう」
「傷つけてごめんね、許してくれてありがとう」
「与えてくれてありがとう、返せなくてごめんね」
タケミチとヒナタ、タケミチとマイキー、マイキーと一虎、場地と一虎、場地と千冬・・・
それぞれの関係性の中に、それぞれの「ごめんね」と「ありがとう」が存在します。
時に優しく、時に残酷なそれぞれの思いがあること、そして、その思いをそのまま言葉にできない不器用さや歯がゆさがあることを、秀逸に表現した歌詞だと考察できそうです。
「グラデーション」が意味するもの
続きの歌詞では、曲名にもなっている“グラデーション”という言葉が出てきます。
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連なった本当で グラデーションになった
曖昧の中から 愛を見つけ出せたなら
≪グラデーション 歌詞より抜粋≫
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「ごめんね」と言っていても「ありがとう」が込められていたり、その逆だったり、世界は見えているものが全てではありません。
人の感情はグラデーションになっていて、曖昧な部分も含めて“本当”なのでしょう。
白黒つけようとすると、曖昧な部分はなかったことにされ、“本当”から遠ざかるようにも思います。
白黒つけられない曖昧な部分こそ“本当”で、そんな部分を丁寧に描いているのが『東京卍リベンジャーズ』と『グラデーション』という楽曲の共通点とも言えるでしょう。
どれほど飛び交う言葉や行動が暴力的であっても、“本当”の部分に愛が見えるからこそ、『東京卍リベンジャーズ』は多くの人々から愛される作品になっているのだと思います。
曖昧な部分から目を逸らさず、彼らの不器用な愛を見つけ出して、抱きしめたいですね。
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白黒 善悪 正解 不正解
極端な取捨選択だけじゃない
どれもこれも嘘ではなくて
誰も聖人君子じゃなくて
≪グラデーション 歌詞より抜粋≫
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自分にとっての正解を突き詰めたとき、周りから見れば不正解に映ったり、誰かにとっての正義が、他の誰かにとっては悪意になったりすることがあります。
登場人物たちの思いや、それぞれの信じたものが何なのか。
映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』を、主題歌『グラデーション』とともに味わってみると、さらに物語を奥深く感じられるでしょう。
SUPER BEAVER(スーパービーバー)。 渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“35才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。 2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。 2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、···