多様な楽曲が入った2nd EP
──『咲音』は、しっとり系からアップテンポまで多様な楽曲が入ったバラエティ豊かなEPだと感じました。伊東健人(以下、伊東):今回は、1st EP「華灯」以降にデジタルリリースされた楽曲が入ったEPです。僕自身が作詞作曲を手掛けた楽曲もあるので、おっしゃっていただいたように多様な楽曲の入ったEPになっていると思います。
──ぜひ、それぞれの楽曲を伊東さんからご紹介してください!まず、1曲目の『Sign』は、インストの楽曲ですね。
伊東:これは、2曲目の『My Factor』に繋がる曲で、かつ、このEPをイメージできるような1曲目にしたいというイメージから作られた楽曲です。今回のEPの世界観を体現する楽曲になったと思います。
──そうして続く『My Factor』は、伊東さん初のアニメタイアップソングでもあります。
伊東:一番直近にリリースした楽曲ですが、まさにこのタイトル通りの楽曲です。「My Factor」つまり、自分を構成する要素は何なんだろうと。それは、周りの人や自分自身の決め付けなのかもしれませんが、それをポジティブに捉えようとした楽曲になっています。アーティスト活動をし始めた当初から、アニメのタイアップをやりたいと願ってきたので、形にできてよかったなと思います。
──伊東さんにとっても、とても思い入れのある楽曲ということですね。『戯言』はどんな楽曲ですか?
伊東:この曲は『My Factor』とは逆で、収録されている曲の中で一番最初にできた楽曲ですね。「自分が想いを寄せている人は、必ずしも自分と結ばれる人とは限らない」ということをテーマにしています。爽やかな楽曲ですが、その中にどうしようもない気持ちを入れたいと思ってリクエストしました。最終的には、少し距離感を感じる終わり方なのですがもそこもお気に入りです。
──『サッドマンズランド』は、シンガーソングライターのキタニタツヤさんによるプロデュース楽曲ですね。
伊東:キタニくんと話した時に、「インターネットって怖いよね」というところから始まった曲です。SNSもそうですが、さまざまな投稿に対しての諦めだったり、それでもなんとかならないかというちょっと抵抗したい想いだったり…そういった想いがスタートになっています。
──キタニさんとの制作は、以前から行っていたのですか?
伊東:『サッドマンズランド』で初めてご一緒させて頂きました。今回は、僕がこういう曲を作りたいとテーマを共有して、それに対してキタニくんが作ってくださったのがこの楽曲でした。勢いがあって、サウンド的にも印象に残る面白い曲になりました。キタニくんの曲は、これまでもコンテンツなどでも歌わせていただいていたのですが、その時から面白い曲を書く人だなと思っていて。それで、彼の曲を聴くようになり、個人的にも交流もあったので、タイミングよくお願いすることができました。
──伊東さんが作詞をされた『BiT』についても教えてください。この楽曲には、どんな想いを込めたのですか?
伊東:先にメロディーをいただいて、作詞をどうしようかなとなった時に、自分で作るのか、どなたかに作っていただくか、共作するかという選択肢があったのですが、今回は自分から「作詞してみます」と伝えてこの形になりました。曲を聴きながら、自分の中に浮かんでくる言葉をとらえて、インスピレーションに身を任せて作詞しています。特にテーマを決めていたわけではないですが、言葉遊びが多いと思います。
──そうすると、<Back in Time>という歌詞にも、特別な意味があるわけではないということなんですか?
伊東:それに関しては、実は意味はあるんですが、それは聴いてくださる皆さんに気づいていただけたらなと思います(笑)。自分がこの歌詞通りの体験をしていなくても、どこか懐かしさを感じてもらえたらいいなと思っています。
──明言しないからこそ意味が深まるということもありますよね。ところで、作詞をされる時は、音の印象やメロディーを聴いて思い浮かんだものを素直に綴ることが多いんですか?
伊東:そういうことが多いですね。自分が何をどう書きたいかではなく、曲の雰囲気だったり、スピードだったり、そのメロディーのリズムだったりで、合う日本語や合わない日本語、合う世界観が出てくるから、どういうものが良いのかを試行錯誤しています。
──『Follow』では、ソロアーティストとしては初めて作詞作曲を手掛けられています。
伊東:1年くらい前に自分で弾き語りしたワンコーラスが出来上がっていて、それを今回、楽曲として形にしてみました。最初の弾き語りからは編曲していただき、バンド編成の楽曲になっていますが、元々のデモはアコギ1本でした。そのテイストを残しつつ、サウンド面にもこだわった1曲になります。
──以前から、ソロの曲も作詞作曲をしたいという思いがあったのですか?
伊東:いや、それが全然なかったんです。ただ、作詞作曲はこれまでにも他ではやらせていただいていましたし、楽曲提供をしたこともあります。僕にとっては苦しい作業でもないので空いた時間にやらせてもらっているという感じです。しかも、今回は1年くらい前に作った曲を形にしてみたらどうだろうかというところから始まったので、それで踏み切ることができました。
──そうすると、今後はさらに伊東さんが作詞作曲を手掛ける楽曲も増えそうですね!『Follow』もまずメロディーが出来上がってから歌詞をつけたという作り方でしたか?
伊東:自分で作ったのでほとんど同時進行ですね。歌詞にあるように、思い返せば、自分の記憶の中の人や声、姿はなんとなく下から見上げていたものや後ろから追いかけていた姿が多かったことに気付いたんです。その模様や風景を言語化してみようと思って作詞しました。
歌の主役は聴いてくれる人
──歌詞を書く上で、共通して意識していることというのはありますか?伊東:特にないですね。ただ、そうはいっても、自分の癖は出るものだと思うので、自然と自分らしいものになっているのかなとは思います。それから、「歌の主人公は自分にしない」というのは共通しているところではあると思います。歌の主役は聴いてくれる人だと自分は思っているので。聴いてどう思うのかはその人の自由ですし、曲を聴いて何かを思ってくれるだけでも僕は幸せなので、自分はこうなんだと押し付けるものではないかなと。何か問題提起をするのではなく、「あるよね、こういうことって」でいいと僕は思うんです。皆さんが共感できることもあれば、できないこともあると思いますが、それでいい。
──伊東さんが感じている作詞作曲をする楽しさはどういうところにありますか?
伊東:歩いている時だったり、何かをしている時になんとなくメロディーが浮かんできて、それを録音してみようと家に持ち帰って、コードをつけて。最近は、そうした作業が本当に面白いと思うようになりました。年末年始にかなりの曲を作ってデモを作ったんですよ。思い浮かんだものを鼻歌で歌って、そのフレーズを弾いてみたものに、どういう伴奏がついて、どういうコードで結びついて、どんな歌詞が最終的に当てはまって、どうアレンジされるのか。楽曲が完成して、皆さんの耳に届くまでの過程を考えるのが面白いんです。その過程で自分の頭に思い描いていることとばっちりハマった時は、達成感も感じますね。
──クリエイトすること自体が楽しいんですね。では、今回のEPのタイトル『咲音』にはどのような意味があるのですか?
伊東:1st EPが『華灯』だったのですが、前作を踏襲して、同じように漢字2文字のタイトルにしようと思って、いくつか考えたうちの一つです。方向性としては、『華灯』とは真逆のアプローチをしています。例えば、『華灯』は全体的に黒を基調としたCDジャケットだったので、今回は白。『華灯』では夜の明かりをイメージした照明になっていましたが、『咲音』は自然光にして軽やかな色もつけている。『華灯』が無機物だったら、『咲音』は植物が映り込むようなジャケットにしています。ギャップを狙うという意味もあって、あえて真逆にしていますが、根っこの部分では『華灯』も『咲音』も変わりません。その中でちょっと違うアプローチをしているだけ。そのアプローチの違いが今回の『咲音』というタイトルと、このジャケットになりました。
──なるほど、根っこである伊東さん自身は変わらない思いで作品を作られているんですね。UtaTen恒例の質問ですが、『咲音』の楽曲の中で、お気に入りのフレーズとその理由を教えてください。
伊東:1つには決められないので、今作を代表する部分をということで、『My Factor』の<My Factor>です。この2nd EPは全てが「My Factor」なので、そういう意味でこのフレーズを選びました。
──もう1問、歌詞にちなんだ質問をさせてください! 『BiT』の中の<Back In Time>というフレーズには、「時を戻す、時間を戻す、過去に戻る」といった意味もありますが、伊東さんがもし、今の記憶を持ったまま過去に戻れるとしたら、いつに戻って、どんなことをしたいですか?
伊東:記憶を持っていけるなら、若ければ若い方がいいですね。3歳とか?
──今とは違う人生を歩む?
伊東:多分、そうすると思います。記憶を持ったまま戻れるなら、何でもできますよね。きっと、大学生くらいになったらお金を貯めて、日本から出て、まずは世界を見てみたいと思うんじゃないかなと思います。何をするという決まった目的があるわけではないですが(笑)。
初のワンマンライブは特別なものに
──4月14日には、初めてのワンマンライブが決定しています。ライブに向けて、今はどんな思いがありますか?伊東:もちろんいいものにしたいと思っています。これまでリリースイベントはやっていたので、自分の歌を歌う機会は何度かありましたが、ワンマンライブは初めてなので、特別なものになると思います。まだ具体的に決まっているわけではないですが、ただ歌うだけじゃなく、プラスα皆さんが楽しんでいただけることができたらと思っています。例えば、楽器を弾いてもいいし、踊ってもいいのかなと。できるかどうかは分かりませんが(笑)。ライブでは期待値以上のものをお見せするというのが大事だと僕は思うので、ただCD通りに歌えばいいというわけではないと考えています。バンドメンバーもいますし、お客さんもいる、だからこそできることもある。ライブは観客の皆さんの存在も一つの大きな要素なので、みんなで楽しめるものになればいいなと思っています。
──これまでユニットなどでもライブはされていますが、やはりソロライブというのはご自身の中でも違うものがありますか?
伊東:そうですね。責任感は大きく違いますね。自分に全てのフォーカスが当たっていて、自分がこだわった楽曲を歌う。キャラクターソングのライブや他のユニットでは、曲を作り出すところから関わることはまずないですし、自分が全て提案して関わっていくこともないんですよ。だからやっぱり伊東健人の活動とは大きく異なります。そういう意味でも特別かなと思います。
──アーティスト活動を通して、一番こだわっていることやここだけは守っていきたいと考えていることは?
伊東:声優活動もアーティスト活動だと思っているので、言葉の選び方が難しいですが…最終的には本来の声優の活動に生きてほしいと思いながらやらせていただいています。ただ、自分がどう思おうが、絶対に生きてくるんですよ。声優、つまりはお芝居ということになりますが、それは人生経験が大事なので、あらゆる活動が無駄になることはないんです。ただ、その意識はなくさずに持っていなければいけないと思います。なので、こうしたアーティスト活動であれば、楽曲を作る早い段階から関わるチャンスをいただけたり、自分一人でどれだけできるのかにチャレンジしたり、他では味わえないことができるので、そこで受け取ったものをこの先の自分にどう変換していけるのかは考えながら楽しんでやっていきたいと思います。
──最後に読者の方にメッセージをお願いします!
伊東:いよいよ2nd EP『咲音』が発売になります。聴いて感じてもらったものが正解です。今日はこうしてお話をさせていただきましたが、これも1つの視点だと思っていただいて。楽曲の捉え方はそれぞれですし、このお話を参考にするもしないも自由です。ただこのEPを、この楽曲たちを楽しんでいただけたら幸せです。僕はまだ活動をスタートしてから1年半ほどの新参者で、曲数もやっと10曲前後。もちろん、ここまでやらせていただいたことは非常に嬉しいことですがまだまだ満足していないですし、これで一区切りだとも思っていないので、もっとやるぞという思いをここで皆さんにお伝えしておきます。ぜひ期待していてください。まずは、2nd EPを手に取っていただき、これから先の活動も楽しみにしてほしいなと思います。
TEXT 嶋田真己
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