地位や名誉より大事なもののために突き進む
Number_iが2024年5月27日にリリースしたミニアルバム『No.O-Ring-(ナンバリング)』のリード曲『BON』が、注目を集めています。作詞は、HIPHOPグループ・ODD Foot WorksのラッパーPecoriが、作曲は4人組ロックバンド・DATSのボーカルMONJOEが担当。
1st single『GOAT』を制作した2人の再タッグで生まれた楽曲です。
MVはYouTubeでの公開からわずか2日間で1,000万回再生を突破し、3日で1,000万回再生を記録した『GOAT』MVの記録を塗り替えました。
平野紫耀がプロデュースしたこの楽曲のイメージは、“盆栽”なのだそう。
メンバーたちの激しいラップとダンスの中に、盆栽につながる和のテイストが取り入れられ、日本と世界の両方を意識していることが窺えます。
盆栽というテーマでどのようなメッセージを伝えようとしているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。
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王者が掻っ攫う
頑丈に閉ざした君のハートを奪う
地位名声より大事なもの
Let's GOAT
あーでもないこーでもない
言いながら制作
SHAMI BEN BEN BEN
もっとデケーことしたいから
みんなの笑顔が溢れる My Life
≪BON 歌詞より抜粋≫
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1番冒頭から、Number_iとしての熱い思いが伝わってくる歌詞です。
「王たち」というフレーズは、彼らの元のグループ名をイメージさせます。
そして「頑丈に閉ざした君のハート」は、おそらくグループ脱退によって離れてしまったファン心を指しているのでしょう。
一度はアイドルとして頂点に立っていた彼らが、新しいグループとなって魅せる新天地は、離れていったファンの心さえ奪うほど魅力的なのだという自信が読み取れます。
また「Let's goat(行こうぜ)」のフレーズは『GOAT』を思い出させます。
『GOAT』のタイトルは「Greatest of all time」から取られたもので「最高到達点」を意味するスラングです。
この言葉に注目すると、過去の「地位名誉より大事なもの」、つまり「自分がやりたいことで高みを目指す」という信念を突き通す道を選んだからこそ、彼らはNumber_iとしてゼロから始めることにしたのだろうと理解できます。
その道も決して楽なものではなく「あーでもないこーでもない言いながら制作」していると歌っています。
そうこうしながら「もっとデケーことしたい」と思いつつ作っていると、そこには自然と笑顔が生まれている様子。
今の音楽作りを楽しんでいる様子が伝わってきますね。
盆栽のモチーフに込めた思いとは?
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We Make Bonsai
3人の天才
風来坊 Notアイドル
No No 世界を背負う Bad Boy
乗り込みな To Be In The World (With You)
≪BON 歌詞より抜粋≫
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「We Make Bonsai」のフレーズで、楽曲のテーマとなっている盆栽が出てきます。
平野紫耀によると、『BON』は盆栽が成長する過程を、自分たちと重ねている楽曲だそうです。
盆栽は同じ種類の木でも、幹や枝ぶりの様子から一つひとつ全く違う作品として成長していきます。
また、丹精を込めて手入れをしていると、数百年を優に超えるほどの期間残り続けます。
1つの盆栽を作り上げるように『Number_i』を長く愛されるグループとして丁寧に育てていこうという気持ちが見えてくるでしょう。
「風来坊」とは、風に吹き寄せられたように、どこからともなく彷徨ってきた者や気まぐれな者を指して用いられる言葉です。
今の自分たちはアイドルではなく、自分の気の向くままに進む存在だと言っているのでしょう。
そして「世界を背負う Bad Boy」となるつもりです。
「To Be In The World」には現事務所であるTOBEの名称が含まれています。
新しい世界を見せてやるから付いて来い、というような力強いメッセージを感じますね。
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あゝ夕焼け盆踊り
踊る1億人
残すこの先に咲くワード
未体験 Iyer Sasa
鳴く PIKAPIKA☆
風林火山
愛は燦々
My Face Print うちわ
仰いで燃える神座
Touch The Sky
邪魔者一網打尽
抱きしめるあなたの煩悩
≪BON 歌詞より抜粋≫
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ここでは盆栽の「盆(BON)」とかけて「盆踊り」という言葉が出てきます。
盆踊りの起源は平安時代中期に遡るそうで、盆栽と同様に古き良き日本の文化といえるでしょう。
その後に続く言葉も日本らしい言葉が重ねられていて、日本を背負って世界に挑もうという意欲を感じさせますね。
次の「My Face Print うちわ 仰いで燃える神座」の歌詞には、アイドルからの卒業の思いがはっきりと表現されています。
邪魔者は一網打尽にして、頂点を目指すつもりだと宣言する歌詞がパワフルです。
ファンと共に最高のグループを作り上げる
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新たな教会
残した存在
育てた盆栽が売れる No Tax
この曲だって
お前が価値を決めるんだ
迷ってる暇なんてない Goes On
花咲かせろ
BON
≪BON 歌詞より抜粋≫
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どんな盆栽に心惹かれるかは見る人によって異なるものです。
同じように「この曲だって、お前が価値を決めるんだ」と、周囲の意見に流されず自分で聴いて、この曲の価値を感じてほしいと真っ直ぐに伝えています。
「花咲かせろ」と自分たちを鼓舞しながら、努力を続ける姿が見えてくる気がしますね。
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まあ気楽に楽しんで
Number_i はけっこう調子いいね
この瞬間だって Bon Bon Bon Bon
≪BON 歌詞より抜粋≫
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とはいえ、自分たちが楽しんでいるように、リスナーにも難しいことは考えず気楽に楽しんでほしいという思いも明かしています。
絶賛されなくとも、本当に価値を認めてくれる人たちに「Number_i はけっこう調子いいね」と言われるグループでありたいと願っているのだと解釈できます。
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Number_i 規格外盆栽
飛んでいける羽ください
ハシからハシまで
シーンを切る街風
君 Like a 針金
聞こえっか? Ha?
ジュラ期から令和
TVショー RADIOからドームまで
あーだこーだうっせーやつらキリがねー
愛でもってみんなまとめちゃえ
枯葉に水
Anti は Freeze
根から生えた Peace
≪BON 歌詞より抜粋≫
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ここでは自分たちを「規格外盆栽」と称し、型にはまらずに羽ばたいていきたいと思っているようです。
続く部分では「針金」というフレーズが印象的に登場します。
針金は、盆栽を形作る上で必要不可欠なものであることから、自分たちを支えてくれるファンを針金に例えて歌っているそうです。
このグループが最も魅力的な形になるように、ファンと共に作り上げていきたいという熱意が伝わってくるでしょう。
そして「時代も場所も関係なく自分たちがシーンを席巻する」との確信を言い表しています。
「あーだこーだうっせーやつら」のことを気にしていたらキリがありません。
だからそれに対抗するのではなく「愛でもってみんなまとめちゃえ」と、愛で包み込もうともしているようです。
この部分の最後の歌詞は、メンバーとファンとの関係を盆栽に例えていると解釈できませんか?
盆栽に例えるなら、幹である彼らは、かつてのファンが枯れ葉のように自分たちから離れても、それに水をやり、自分たちがさらに成長するための肥料にしていくということでしょう。
そうしていれば、アンチだった人たちはやがて「Freeze(凍結)」するように何も言えなくなるはず。
そして彼らは「根から生えたPeace(平和)」のように、世界に愛と平和と笑顔をもたらす存在になるのでしょう。
このグループとしてどうなっていきたいのか、強く訴えかけてくる歌詞に引き込まれます。
Number_iの決意が伝わる歌詞に注目!
Number_iの『BON』の歌詞からは、盆栽のように時間をかけて自分たちの魅力を磨き、唯一無二の世界を作り上げていこうという決意表明が読み取れました。新しいグループとしてやっていくとき、そこには様々な意見が付きまとうでしょう。
それでも自分のやりたいことや目標を信じて、勝負しようとする覚悟が垣間見える『BON』からは、諦めずに突き進む力がもらえます。