女王蜂は、ボーカルのアヴちゃん、ベースのやしちゃん、ドラムのルリちゃん、ギターのひばりくんの4人で構成されるバンド。ルリちゃんがアヴちゃんの妹です。本名、性別、年齢などは非公開。2009年に結成、2011年にメジャーデビュー。2012年にメンバーの脱退があり、一旦活動休止。2014年より活動を再開させ、新メンバーひばりくんが加わり今に至ります。
このバンドを一躍有名にした曲が2011年発表の『デスコ』。映画『モテキ』のメインテーマとして使われた非常にノリの良い曲です。高音と低音を行き来する独特なボーカルの歌唱。ノリのいいリズムの中に音楽をやる業が潜んでいます。
“甘く透き通る言葉「フー・アー・ユー」そんなこと知らないわ
プラスチックの身体守ることが出来ないの
今以上それ以上にもうどうしようもない位
ねぇディスコに行きたいの 今 光にまみれて”
最初の歌いだし。「フー・アー・ユー」に対し、そんなの知らないと答える歌詞。誰であるかを聴かれたくない、というのはこの後に出てくる「新しい世界」への伏線でもあります。「プラスチックの身体」は、体の自由がきかない様。衝動にまみれている状態です。光にまみれたディスコに行きたいという歌詞。踊る空間で光を浴びたい。自分たちがやっているような音楽への衝動のことですね。ディスコに行きたいとは、女王蜂が音楽をやりたい、ということの表れ。
「いまいじょうそれいじょうもうどうしようもないくらい」という「い」の音の連続で、衝動を加速させています。
“知らない映画の結末 教えてくれてもつまらないのよ
新しい世界の始まり 教えて欲しいの今すぐほらすぐ”
特に印象的なのが対比されるこの2つのフレーズ。「知らない映画の結末 教えてくれてもつまらないのよ」これは、自分が知らないフィクションに関しては興味がない、ということ。これと対比されるのが「新しい世界の始まり 教えて欲しいの今すぐほらすぐ」。新しい世界こそが、女王蜂が求めていること。では、新しい世界とは何でしょうか。
女王蜂は、もともとPerfumeに憧れてバンドを組んでいます。一見、テクノポップユニット3人組と女王蜂では、全く異なるように見えます。しかし女王蜂は、Perfumeのその姿勢に憧れている。その証拠に、この『デスコ』のライブ時、Perfumeの代表作である『チョコレイト・ディスコ』のコール&レスポンスを入れています。『デスコ』というタイトルそのものに、Perfumeへの憧れが込められているんですね。
広島のローカルアイドルとしてスタートしたPerfumeが、様々な壁を壊していったように、女王蜂も色々なものを超えていくことを目指しています。性別も年齢も超えたい。この曲の最初のフレーズにあるように、「フー・アー・ユー」と聞かれたくない、いちいち素性を探られたくない。それなら音楽で示す。自分たちが作る新しい『デスコ』という世界で示す。「新しい世界の始まり」を教えてほしいと歌うこの曲は、自分たちが新しい世界を開拓するという気持ちの表れでもあるんですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)