椎名林檎、奥田民生、サカナクション、くるり、ビートルズ、ザ・スミスなど、数々のアーティストが愛用している「リッケンバッカー」。
「ボディからツノが生えたような形、中央から外側に向かってりんごのような赤色が濃くなるカラーリング」と聞けば、ピンとくる人も多いのではないでしょうか?
この記事のもくじ
リッケンバッカー(Rickenbacker)とは
「リッケンバッカー(Rickenbacker)」とは、アメリカのカリフォルニア州に本社を置く楽器メーカーです。
1931年に設立された老舗メーカーで、世界初のエレキギター「フライングパン」を開発したことでも知られています。
大手企業と比べると規模は小さいですが、ビートルズのメンバーの使用により有名になって以降、定番メーカーの1つとして確固たる地位を築いてきました。
最近では機能性に優れたベースの登場により、ややマイナーな存在となっていますが、ビートルズが好きな人や個性的な楽器が好きな人からは根強い人気のあるメーカーです。
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リッケンバッカーのベースの特徴
先ほども説明したように、リッケンバッカーはビートルズのメンバーが愛用していたことで世界的に名前が知られるようになりました。
職人の手によって1本ずつ丁寧に作られるからこそ実現できるこだわりの詰まった仕様には、どのような特徴があるのでしょうか。
ここからは、「個性派ベースの代表格」と呼ばれるリッケンバッカーのベースの特徴を紹介します。
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トラスロッドが2本
リッケンバッカー製のベースの大きな特徴は、トラスロッドが2本埋め込まれていることです。
「トラスロッド」とはネック部分に埋め込まれている鉄製の棒のことで、ネックの反りやねじれを調整するために用いられます。
通常のベースでは1本のところを2本使用することによって、金属的な硬めの音色を作り出し、さらにはネックの反りやねじれをより強力に防ぐことができるのです。
ただし、これによって調整が非常に複雑になるので、メンテナンスの際には専門家に頼ることが必要になります。
メイプルのボディとスルーネック
リッケンバッカーのベースと言えば「スルーネック構造」もとても有名です。
「スルーネック構造」とはボディエンドまでをネックが貫き、ネックの左右にウィング材を貼り合わせてボディを形成する構造のこと。
部品の数を抑えられるので、ハイポジションの演奏がしやすくなったり、音の鳴りが良くなったりするというメリットがあります。
このスルーネック構造に、指板材として定番のメイプルをボディ全体に掛け合わせた作りが、リッケンバッカーの特徴です。
工数が多く、他のモデルよりも手間もかかる製作方法ですが、ここで妥協しないのが「個性派ベースの代表格」と呼ばれる理由なのでしょうね。
シングルコイルのピックアップ2つ
リッケンバッカーのベースには、時代に合わせたモデルチェンジはありつつも、基本的にはシングルコイルのピックアップが2つ搭載されています。
この仕様はジャズベースをはじめ多くのモデルが採用しているため、スタンダードな仕様ともいえるでしょう。
特徴的なのは使われているピックアップで、リッケンバッカーのベースは1弦~4弦までの幅とほぼ同じサイズ感を持つオリジナルモデルを搭載しています。
汎用性に優れた定番仕様を採用しつつも、こだわりのパーツを使うことで個性的なサウンド・ルックスを実現しているのがこのメーカーの特徴です。
幅広いサウンド
2基のシングルコイルピックアップと、レスポールに似た2ボリューム2トーンのツマミにより、幅広いサウンドが演出できるのもリッケンバッカーのベースの特徴です。
ピックアップの切り替えができるのはもちろん、ピックアップごとにトーンの調節が可能になっているので、本体だけでも色々なサウンドが楽しめますよ。
トーン2つを弦に近い位置に配置するという独特な仕様を採用することで、演奏中でも手軽にトーン操作ができるのもポイントです。
アタック感と太さが共存する個性的な音
リッケンバッカーのベースはジャズベースのような雰囲気を感じさせつつも、よりも図太くアタック感が際立った特徴的な音を持ちます。
全体的にパワフルな雰囲気なので、クラシックロックやガレージロック系のジャンルやポップスなどと相性バツグン。
スラップに関してはジャズベースのようなバキッとした雰囲気は出せませんが、やや重心の低い、どっしりとしたサウンドが楽しめるでしょう。
定番のピックアップ配列ながらも、他のモデルとは一味違った個性的なサウンドが楽しめるのがリッケンバッカーのベースの魅力です。
リッケンバッカーのベースは弾きにくい?
「リッケンバッカーのベースは弾きにくい」という意見を耳にした、目にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか?
確かに他の定番モデルと比べるとクセのある部分が多いため、弾きにくさを感じる可能性は十分にあるといえます。
特にリッケンバッカーのベースはピックアップ周辺が独特な構造で、ジャズベースやプレシジョンベースのように、ピックアップの上に指を置くことができません。
また、ピックアップを覆う金属カバーも存在感があるため、スタイルによっては邪魔になる可能性もあるでしょう。
ほかにも、ボディとヘッドの重量バランスがイマイチ、ナットを調整しないとローポジションが弾きにくいといった声もよく聞かれます。
慣れや調整で対応できる部分も多いですが、定番モデルから持ち帰る際には多少の弾きにくさを感じる場合があると覚えておきましょう。
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リッケンバッカーのベースの種類
リッケンバッカー製のベースがいかに手間暇かけられた個性的なものであるかがわかったところで、次はリッケンバッカーの代表的なベースの種類を紹介します。
憧れのベーシストがどのモデルを使っているのかを確かめて、購入を検討する際の参考にしてみてください。
4001
リッケンバッカーの中でもっとも有名なモデルが「4001」モデルです。
1961年に発売されてから製造が中止される1986年まで、25年もの間「リッケンバッカーの顔」として親しまれてきました。
ポジションマークの三角形がとてもクールで目をひきますよね。
ちなみに、ポール・マッカートニーが使用していたのは4001と同時に発売された4001Sモデルで、4001のスタンダードバージョンです。
4002
「4002」モデルは、4001モデルのデラックス版として1977年に生産が開始されました。
ボディには希少材であるバーズアイメイプルが使用され、黒地に白のネームプレートや黒いピックガード、ボディを縁取るバインディングが貫禄満点です。
こちらはなかなかお目にかかることのできない「幻の逸品」とも称されており、中古楽器市場ではヴィンテージ品として130万円を超える価格で取り引きされています。
4003
「4001」と「4002」が歴代のリッケンバッカーの顔だとするならば、現代のスタンダードに位置付けられるのが「4003」モデルです。
4001モデルの後継機種として基本的なデザインを引き継いでいますが、ピックアップの出力がより大きくなったり、個人では扱いが難しかったトラスロッドが改良されたりと、変更点もいくつか挙げられます。
これによって4001モデルのそのままの音色を出すことは叶いませんが、その分誰にでも扱いやすい仕様になっています。
4003S
「4003S」は「4003」のマイナーチェンジモデルです。
仕様や素材、構造といった基本的な部分は全く同じですが、縁取り塗装の「バインディング」の有無とポジションマークの形状が異なっています。
4003はバイディンディング有りで、ポジションマークは三角形。
対する4003Sはバインディング無しの、ドットマーク仕様です。
4004
「4004」はリッケンバッカーの定番モデルを、よりモダンなスタイルにしたモデルです。
ピックアップ部分の金属カバーやピックガードを無くし、ツマミも4個から2個仕様へと変更されているのが特徴。
さらにピックアップには高出力なハムバッカータイプが採用されるなど、音質や使用感に関する部分に大きな変更が加えられています。
定番ボディシェイプを採用しつつも、よりハードなサウンドに対応できるようカスタマイズされた、近代的なリッケンバッカーのベースです。
4080
少し風変わりな「4080」モデルは1975年に発売されたもの。
こちらはリッケンバッカーのギター“MODEL 480”とベース“MODEL 4001”が組み合わされたダブルネックモデルです。
カナダの国民的3ピースバンド・Rush(ラッシュ)のゲディ・リーがライブでセカンドギターのフレーズを弾く時に使用していたのも有名ですが、7kg近い重量から腰を痛めて使うのをやめたという逸話があります。
リッケンバッカーのベースを使用しているアーティスト
個性的で複雑な仕様から、メンテナンスが難しさや扱いにくさもあるリッケンバッカーですが、それでもサウンドの幅広さやブランド力によって、熱狂的な愛用者は世界中に数多くいます。
ここから紹介する偉大なアーティストたちもその中の一人です。
自分の好きなベーシストがいるか、ぜひ確かめてみてください。
ポール・マッカートニー
解散してもなお伝説的なバンドとして世界中にその名を響かせ、多くのミュージシャンに影響を与え続けているロックバンド・The Beatles(ザ・ビートルズ)のベーシストであり作曲家であるポール・マッカートニー。
躍動するベースラインで曲全体を引っ張ったり、ボーカルの裏でカウンターを張ったりする巧みな演奏は「ロックバンド内のベースの在り方を定義付けた」と言われています。
レミー・キルミスター
イギリスのロックバンド・Motörhead(モーターヘッド)のレミー・キルミスターは「ミスターリッケンバッカー」と呼ばれるほど、一貫してリッケンバッカーを愛用していました。
ほとんどギターに聞こえるくらい歪ませた音色と渋く激しいダミ声で、ロックだけでなく、ヘビメタやパンクリスナーからも愛されています。
1本ずつ丁寧にオークの葉の彫刻が施されたレミーモデル「4004LK」は、全世界で60本だけ生産された幻のベースです。
クリス・スクワイア
1985年にグラミー賞を受賞したプログレッシブロックバンド・Yes(イエス)の屋台骨として活躍したクリス・スクワイヤもリッケンバッカー愛用者の一人です。
1、2弦の特に硬質な音色を活かして超攻撃的なサウンドは「圧巻」の一言。
メンバーチェンジが激しいイエスの中で、結成当初から自身の死去までベーシストを務めあげたクリスは、プレイヤーモデルである「4001CS」モデルを生み出しました。
ロジャー・グローヴァー
ロジャー・グローヴァーは、2016年にロックの殿堂入りを果たしたイギリスのロックバンド・Deep Purple(ディープパープル)のベーシストとして、バンドの黄金期を支えました。
現在のロジャーはプロデューサーとしても知られており、その音楽センスはバンドの中でも幅広いサウンドを実現する相棒・リッケンバッカーの「4001」モデルと共にいかんなく発揮されていました。
ブルース・フォクストン
1977年から1982年まで活躍したイギリスのロックバンド・The jam(ザ・ジャム)で活躍したブルース・フォクストン。
解散してもなおイギリス国内で熱い支持を受ける同バンドは、バンクロック全盛期の時代にモッズスタイルやR&Bのテイストを取り入れて人気を博しました。
ボーカルとギターを務めるポール・ウェラーとともに真っ赤なリッケンバッカーをかき鳴らす姿には、憧れた人も少なくないでしょう。
沖井礼二
沖井礼二はCymbalsやTWEEDEESでの活動、有名アーティストへの楽曲提供などで有名なミュージシャンです。
93年製の「4003S」を愛用するベーシストとしても有名で、数多くの楽曲にこのモデルを使用しています。
リッケンバッカーのサウンドと楽曲の雰囲気の両方を活かした、スタイリッシュなプレイはおしゃれポップス好き、ロック好き必聴です。
リッケンバッカーのベースは幅広い音楽に対応できる!有名アーティストが弾いている演奏を聴いてみよう
決して使い勝手が良いとは言えない複雑な仕様ながら、幅広い音楽に対応する素晴らしい音色や、こだわりの詰まったブランドの誇りによって、多くの偉大なアーティストに愛されてきたリッケンバッカー。
時代や流行りの音楽ジャンルが変わっても、リッケンバッカーへの憧れの眼差しは変わりません。
YouTube等にはこの記事で紹介したベーシストのライブ映像もたくさんありますので、ぜひ楽器にも注目して、有名ミュージシャンの演奏を聴いてみてください。
この記事のまとめ!
- リッケンバッカーの楽器は世界中のアーティストに愛されている
- リッケンバッカー製のベースが個性派ベースの代表格
- 特徴はスルーネック構造などの複雑でこだわりの詰まった仕様