欠かけた月つきを眺ながめた獣けものは
お前まえが羨うらやましいと言いった
なあ 不完全ふかんぜんなお前まえを皆みな美うつくしいと言いう
あれは嘘うそだ きっと嘘うそだ
痩やせ細ほそった身体からだのどこにも
欠かけたところなど無ないが 誰だれもが
俺おれを腫はれ物ものの様ように嫌きらい 追おい払はらっては
化ばけ物ものだと そう言いった
月つきはただ微笑ほほえみを浮うかべている
お前まえまで俺おれを笑わらうのか
今いま 頬ほおを伝つたって 流ながれた滴しずくの
理由りゆうも名前なまえも獣けものは知しらない
傷きずはひとつも無ないのに 胸むねが痛いたむから
夜よるの静寂せいじゃくにひとり吠ほえるのさ
どこへ行いこうとも 月つきは付ついてきた
お前まえもひとりなのか?
それでも俺おれとお前まえは違ちがうさ
ご覧らん 道みち行いく誰だれもが 俺おれのことなど
その目めには映うつらないようだ
月つきはただ静しずかに沈しずんでいく
次第しだいに明あけゆく空そらの向むこうへ
気付きづけば眠ねむっていた獣けものは
朝靄あさもやの中なかでひとり目めを覚さます
ようやくいなくなったか 生意気なまいきな月つきめ
別わかれのひとつも言いえないのか
今いま 頬ほおを伝つたって 流ながれた滴しずくの
理由りゆうも名前なまえも獣けものは知しらない
何なにも失なくしてないのに 胸むねに空あいた穴あなを
埋うめるように何度なんどもひとり吠ほえるのさ
欠かけた空そらを眺ながめた獣けものは
お前まえが羨うらやましいと言いった
欠kaけたketa月tsukiをwo眺nagaめたmeta獣kemonoはha
おo前maeがga羨urayaましいとmashiito言iったtta
なあnaa 不完全fukanzenなおnao前maeをwo皆mina美utsukuしいとshiito言iうu
あれはareha嘘usoだda きっとkitto嘘usoだda
痩yaせse細hosoったtta身体karadaのどこにもnodokonimo
欠kaけたところなどketatokoronado無naいがiga 誰dareもがmoga
俺oreをwo腫haれre物monoのno様youにni嫌kiraいi 追oいi払haraってはtteha
化baけke物monoだとdato そうsou言iったtta
月tsukiはただhatada微笑hohoeみをmiwo浮uかべているkabeteiru
おo前maeまでmade俺oreをwo笑waraうのかunoka
今ima 頬hooをwo伝tsutaってtte 流nagaれたreta滴shizukuのno
理由riyuuもmo名前namaeもmo獣kemonoはha知shiらないranai
傷kizuはひとつもhahitotsumo無naいのにinoni 胸muneがga痛itaむからmukara
夜yoruのno静寂seijakuにひとりnihitori吠hoえるのさerunosa
どこへdokohe行iこうともkoutomo 月tsukiはha付tsuいてきたitekita
おo前maeもひとりなのかmohitorinanoka?
それでもsoredemo俺oreとおtoo前maeはha違chigaうさusa
ごgo覧ran 道michi行iくku誰dareもがmoga 俺oreのことなどnokotonado
そのsono目meにはniha映utsuらないようだranaiyouda
月tsukiはただhatada静shizuかにkani沈shizuんでいくndeiku
次第shidaiにni明aけゆくkeyuku空soraのno向muこうへkouhe
気付kiduけばkeba眠nemuっていたtteita獣kemonoはha
朝靄asamoyaのno中nakaでひとりdehitori目meをwo覚saますmasu
ようやくいなくなったかyouyakuinakunattaka 生意気namaikiなna月tsukiめme
別wakaれのひとつもrenohitotsumo言iえないのかenainoka
今ima 頬hooをwo伝tsutaってtte 流nagaれたreta滴shizukuのno
理由riyuuもmo名前namaeもmo獣kemonoはha知shiらないranai
何naniもmo失naくしてないのにkushitenainoni 胸muneにni空aいたita穴anaをwo
埋uめるようにmeruyouni何度nandoもひとりmohitori吠hoえるのさerunosa
欠kaけたketa空soraをwo眺nagaめたmeta獣kemonoはha
おo前maeがga羨urayaましいとmashiito言iったtta