山裾やますその紅あかい燈ひ 指差ゆびさす憂うれい顔がお
あれが私あたしの居いたところ
ポツリと洩もらした遊女ゆうじょは二十歳はたち
故郷くにはどこだと問とうのは男おとこ
無ないのと一緒いっしょと答こたえる女おんな
ああ みちのくの しゃくなげ峠とうげ
身みの上うえを語かたるの 止よそうかお互たがいに
生うまれ在所ざいしょに居いたときも
いいこと一ひとつもなかったからね
涙なみだ堪こらえて手てを引ひく男おとこ
何なんにも云いわずに頷うなずく女おんな
ああ みちのくの しゃくなげ峠とうげ
道行みちゆきは不承知ふしょうち 止やめろと 蜩ひぐらしが
声こえを限かぎりに啼なくけれど
聞きき分わけない子この 覚悟かくごの二人ふたり
死出しでの旅路たびじを厭いとわぬ男おとこ
心こころを任まかせて紅べに差さす女おんな
ああ みちのくの しゃくなげ峠とうげ
山裾yamasusoのno紅akaいi燈hi 指差yubisaすsu憂ureいi顔gao
あれがarega私atashiのno居iたところtatokoro
ポツリpotsuriとto洩moらしたrashita遊女yuujoはha二十歳hatachi
故郷kuniはどこだとhadokodato問toうのはunoha男otoko
無naいのとinoto一緒issyoとto答kotaえるeru女onna
ああaa みちのくのmichinokuno しゃくなげsyakunage峠touge
身miのno上ueをwo語kataるのruno 止yoそうかおsoukao互tagaいにini
生uまれmare在所zaisyoにni居iたときもtatokimo
いいことiikoto一hitoつもなかったからねtsumonakattakarane
涙namida堪koraえてete手teをwo引hiくku男otoko
何nanにもnimo云iわずにwazuni頷unazuくku女onna
ああaa みちのくのmichinokuno しゃくなげsyakunage峠touge
道行michiyukiはha不承知fusyouchi 止yaめろとmeroto 蜩higurashiがga
声koeをwo限kagiりにrini啼naくけれどkukeredo
聞kiきki分waけないkenai子koのno 覚悟kakugoのno二人futari
死出shideのno旅路tabijiをwo厭itoわぬwanu男otoko
心kokoroをwo任makaせてsete紅beni差saすsu女onna
ああaa みちのくのmichinokuno しゃくなげsyakunage峠touge