それぞれの秋 歌詞 谷村新司 ふりがな付

陽溜ひだまりの坂道さかみちに立たちどまり
通とおりすぎる学生がくせいを見みていた
俺おれもあの頃ころはあんなふうに
きらきらと輝かがやいて見みえたろう
授業じゅぎょうにも出でずに お茶ちゃを飲のみながら
くだらない夢ゆめを話はなした
突然とつぜんおこった不精ぶしょうひげのおまえも
噂うわさでは苦労くろうしていると

今いまも忘わすれられないのはあの時ときの言葉ことば
幸しあわせになろうなんて思おもっちゃいけない

愛あいした女おんなひとりと 苦労くろうを共ともに出来できたなら
そんなささやかな人生じんせいも きっと悪わるくはない
夢ゆめ、散ちりじり夏なつはすぎ去さり それぞれの秋あき

たしか去年きょねんの初夏しょかの頃ころ
届とどいた一通いっつうの手紙てがみには
旅たび好ずきなあいつのおふくろから
痛々いたいたしいほどの細ほそい文字もじ
ある雨あめの朝あさ 見知みしらぬ町まちで
自みずから命いのちを終おえたと
母ははに残のこした一行いちぎょうの言葉ことば
悲かなしみだけが人生じんせい

今いまも忘わすれられないのは あいつの口くちぐせ
人ひとは自分じぶんの死しに場所ばしょを捜さがすために生いきる

ささやかに 生いきている友達ともだちの
人生じんせいとは 一体いったい何なにんだろう
あざやかに死しんだ 友達ともだちの
人生じんせいとは、一体いったい何なにんだろう
夢ゆめ、散ちりじり夏なつはすぎ去さり それぞれの秋あき

今いまでは二人ふたりの思おもい出でも 忘わすれかけるほどの毎日まいにち
ふと立たちどまる道端みちばたに 悲かなしいほど赤あかい落日らくじつ

夢ゆめ、散ちりじり夏なつはすぎ去さり それぞれの秋あき
夢ゆめ、散ちりじり夏なつはすぎ去さり それぞれの秋あき