老優-キャスティング- 歌詞 谷村新司 ふりがな付

若わかい俳優はいゆうを軸じくに
熱気ねっきを帯おびるセットの
陰かげで虚うつろな視線しせんを投なげている
白髪しらが混まじりの老優ろうゆう
カチンコの響ひびきだけは 今いまでも変かわらないけど
まぎれないこと彼かれはあの頃ころだけ
輝かがやいてた過去かこの人ひと
銀幕ぎんまくの上うえに描えがき続つづけてた
彼かれの青春せいしゅんのかけらとともに
涙なみだ流ながして胸むねおどらせた 人達ひとたちも見みている
彼かれの視線しせんの向むこうに見みえてる
遥はるかなシルク・スクリーン
遥はるかなシルク・スクリーン

見学けんがくの学生がくせいに囲かこまれて
サインに疲つかれたポーズで
カメラの前まえに戻もどる若わかいスターに 淋さびしくほほえむ老優ろうゆう
はなやかすぎた時代じだいは やがてテレビに奪うばわれ
無器用ぶきよう者ものと頑固がんこな者ものだけが
ささやかな夢ゆめを見みてる
撮とりたい映画えいがと稼かせげる映画えいがの
狭間はざまで泣ないてる人ひとを見み乍ながら
どんな役やくでも演えんじて見みせる 彼かれはきっと知しってる
影かげには影かげの役割やくわりがある
それが人生じんせいのキャスティング
それが人生じんせいのキャスティング

パイプの椅子いすに体からだを預あずけて
少すくない台詞せりふの脇役わきやくに知しる
影かげのない人ひとはいない 年老としおいぬ人ひともいない
砂すなになるなら砂すならしい砂すなに
それが人生じんせいのキャスティング
それが人生じんせいのキャスティング