一升いっしょう徳利とっくりを 手土産てみやげに
雪ゆき降ふる中なかを 饅頭笠まんじゅうがさ
これが今生こんじょうの 別わかれなら
酒さけで敷居しきいは 高たかけれど
兄あにをたずねる 暇乞いとまごい
(セリフ)義姉ぎし上じょうさま 赤穂あこう浪人ろうにん
呑のんべえのこの赤垣あかがき源蔵げんぞう
やっと仕官しかんが叶かない、お別わかれに参上みかみ致いたしました。
兄上あにうえがお留守るすとあらば、そこに掛かかった小袖こそでを兄上あにうえと思おもい、
別わかれの酒さけを一献いっこん傾かたむけとうござりまする。
人ひとは一代いちだい 武士ぶしは
その名なを惜おしめ 末代まつだいも
下手へたな謡曲ようきょくを 口くちずさみ
膳ぜんを間あいだに 懐ゆかしき
黒くろの小袖こそでと 差さし向むかい
(セリフ)明あき十五日じゅうごにち 寅とらの刻とき
吉良邸きらていへ討入うちいり致いたします。
二度にどと生いきては戻もどれぬ身みならば、
せめて せめて一目ひとめなりともお逢あいいたし
別わかれの酒さけを酌くみ交かわしとうございました。兄上あにうえ様さま!
明日あしたの討入うちいり 身仕度みじたくを
急せかせて鳴なるか 鐘かね七ななつ
残のこる浮世うきよの 未練みれんやら
払はらう先さきから 降ふり積つもる
雪ゆきが重おもたい 赤あか合羽かっぱ
一升issyou徳利tokkuriをwo 手土産temiyageにni
雪yuki降fuるru中nakaをwo 饅頭笠manjuugasa
これがkorega今生konjouのno 別wakaれならrenara
酒sakeでde敷居shikiiはha 高takaけれどkeredo
兄aniをたずねるwotazuneru 暇乞itomagoいi
(セリフserifu)義姉gishi上jouさまsama 赤穂akou浪人rounin
呑noんべえのこのnbeenokono赤垣akagaki源蔵genzou
やっとyatto仕官shikanがga叶kanaいi、おo別wakaれにreni参上mikami致itaしましたshimashita。
兄上aniueがおgao留守rusuとあらばtoaraba、そこにsokoni掛kakaったtta小袖kosodeをwo兄上aniueとto思omoいi、
別wakaれのreno酒sakeをwo一献ikkon傾katamuけとうござりまするketougozarimasuru。
人hitoはha一代ichidai 武士bushiはha
そのsono名naをwo惜oしめshime 末代matsudaiもmo
下手hetaなna謡曲youkyokuをwo 口kuchiずさみzusami
膳zenをwo間aidaにni 懐yukaしきshiki
黒kuroのno小袖kosodeとto 差saしshi向mukaいi
(セリフserifu)明aki十五日juugonichi 寅toraのno刻toki
吉良邸kirateiへhe討入uchiiりri致itaしますshimasu。
二度nidoとto生iきてはkiteha戻modoれぬrenu身miならばnaraba、
せめてsemete せめてsemete一目hitomeなりともおnaritomoo逢aいいたしiitashi
別wakaれのreno酒sakeをwo酌kuみmi交kawaしとうございましたshitougozaimashita。兄上aniue様sama!
明日ashitaのno討入uchiiりri 身仕度mijitakuをwo
急seかせてkasete鳴naるかruka 鐘kane七nanaつtsu
残nokoるru浮世ukiyoのno 未練mirenやらyara
払haraうu先sakiからkara 降fuりri積tsuもるmoru
雪yukiがga重omoたいtai 赤aka合羽kappa