浮うかれ囃子ばやしの 祇園ぎおんの町まちに
誠まことひとすじ 咲さいた花はな
夢ゆめもむらさき 春はる待まつ袖そでに
別わかれ川風かわかぜ なぜに泣なく
西にしと東ひがしに 袂たもとを分わかちゃ
結むすぶあてない 恋こいの帯おび
酒さけに意気地いくじの 白刃しらはを抜ぬけば
月つきの河原かわらに 泣なく千鳥ちどり
半はん九郎くろう「ひく三味線しゃみせんは祇園町ぎおんちょう」
お染そめ「茶屋ちゃやのやま衆しゅうが色いろ酒さけに」
半はん九郎くろう「みだれて遊あそぶ騒さわぎ合あい」
お染そめ「あの面白おもしろさ見みる時ときは」
「あゝああ今更いまさらそれを言いうも、
愚痴ぐちでござんす。
さあ、ちっとも早はよう」
半はん九郎くろう「お染そめ」
お染そめ「半はんさま」
命いのちふたつを ひとつに寄よせりゃ
なんで怖こわかろ 死出しでの旅たび
対ついの晴着はれぎで 踏ふみ出だす道みちに
鐘かねが鳴なる鳴なる 鳥辺とりべ山やま
浮uかれkare囃子bayashiのno 祇園gionのno町machiにni
誠makotoひとすじhitosuji 咲saいたita花hana
夢yumeもむらさきmomurasaki 春haru待maつtsu袖sodeにni
別wakaれre川風kawakaze なぜにnazeni泣naくku
西nishiとto東higashiにni 袂tamotoをwo分waかちゃkacha
結musuぶあてないbuatenai 恋koiのno帯obi
酒sakeにni意気地ikujiのno 白刃shirahaをwo抜nuけばkeba
月tsukiのno河原kawaraにni 泣naくku千鳥chidori
半han九郎kurou「ひくhiku三味線syamisenはha祇園町gionchou」
おo染some「茶屋chayaのやまnoyama衆syuuがga色iro酒sakeにni」
半han九郎kurou「みだれてmidarete遊asoぶbu騒sawaぎgi合aいi」
おo染some「あのano面白omoshiroさsa見miるru時tokiはha」
「あゝaa今更imasaraそれをsorewo言iうもumo、
愚痴guchiでござんすdegozansu。
さあsaa、ちっともchittomo早haようyou」
半han九郎kurou「おo染some」
おo染some「半hanさまsama」
命inochiふたつをfutatsuwo ひとつにhitotsuni寄yoせりゃserya
なんでnande怖kowaかろkaro 死出shideのno旅tabi
対tsuiのno晴着haregiでde 踏fuみmi出daすsu道michiにni
鐘kaneがga鳴naるru鳴naるru 鳥辺toribe山yama