これはこの世よのことならず
死出しでの山やま路じの裾すそぞなる
賽さいの河原かわらの物語ものがたり
聞きくにつけても哀あわれなり
二ふたつや三みっつや四よっつ五いつつ
十とおにも足たらぬ嬰児みどりごが
賽さいの河原かわらに集あつまりて
父ちち恋こいし母はは恋こいし・・・・
ボタ山やまのテッペンに 子供こどもが二人ふたり
冬ふゆの夜よの木枯こがらしに震ふるえながら
兄あにと弟おとうとの子供こどもが二人ふたり
ひもじい ひもじい子供こどもが二人ふたり
赤あかい頬ほほを濡ぬらして 弟おとうとがいうた
「兄にいちゃん 帰かえろうよ お家うちに帰かえろう」
兄あには悲かなしげに小こ首くびを振ふった
幼おさない 幼おさない小こ首くびを振ふった
白しろい息いきを吐はきながら 兄あにはいうた
「やつれた母かあちゃんの 済すまなそうに
"今日きょうも又また 何なんにも食くうもんの無なかよ"
っていうじゃろう
あの顔かおが可哀想かわいそうだもんな」
やがて そのうちに 疲つかれた子供こどもは
可愛かわいいうなじを抱だき合あうたまんま
うつらうつらと眠ねむってしもうた
まつげに 涙なみだを溜ためたまんまで・・・・
兄弟きょうだいは夢ゆめをみた 弟おとうとがいうた
「だんだん ボタ山やまの・・・小ちいそうなったよ
ぼくたちは お星ほしさまになってしもうたよ
お星ほしさまの金平糖こんぺいとう いっぱい食たべようネ・・・」
ボタ山やまのテッペンに 星ほしがふたつ
冬ふゆの夜よるの寒空さむぞらに瞬またたいている
苦くるしみ多おおい世よの中なかを眺ながめている
悲かなしげに 悲かなしげに眺ながめている
これはこのkorehakono世yoのことならずnokotonarazu
死出shideのno山yama路jiのno裾susoぞなるzonaru
賽saiのno河原kawaraのno物語monogatari
聞kiくにつけてもkunitsuketemo哀awaれなりrenari
二futaつやtsuya三mixtuつやtsuya四yoxtuつtsu五itsuつtsu
十tooにもnimo足taらぬranu嬰児midorigoがga
賽saiのno河原kawaraにni集atsuまりてmarite
父chichi恋koiしshi母haha恋koiしshi・・・・
ボタbota山yamaのnoテッペンteppenにni 子供kodomoがga二人futari
冬fuyuのno夜yoのno木枯kogaらしにrashini震furuえながらenagara
兄aniとto弟otoutoのno子供kodomoがga二人futari
ひもじいhimojii ひもじいhimojii子供kodomoがga二人futari
赤akaいi頬hohoをwo濡nuらしてrashite 弟otoutoがいうたgaiuta
「兄niiちゃんchan 帰kaeろうよrouyo おo家uchiにni帰kaeろうrou」
兄aniはha悲kanaしげにshigeni小ko首kubiをwo振fuったtta
幼osanaいi 幼osanaいi小ko首kubiをwo振fuったtta
白shiroいi息ikiをwo吐haきながらkinagara 兄aniはいうたhaiuta
「やつれたyatsureta母kaaちゃんのchanno 済suまなそうにmanasouni
"今日kyouもmo又mata 何naんにもnnimo食kuうもんのumonno無naかよkayo"
っていうじゃろうtteiujarou
あのano顔kaoがga可哀想kawaisouだもんなdamonna」
やがてyagate そのうちにsonouchini 疲tsukaれたreta子供kodomoはha
可愛kawaiいうなじをiunajiwo抱daきki合aうたまんまutamanma
うつらうつらとutsurautsurato眠nemuってしもうたtteshimouta
まつげにmatsugeni 涙namidaをwo溜taめたまんまでmetamanmade・・・・
兄弟kyoudaiはha夢yumeをみたwomita 弟otoutoがいうたgaiuta
「だんだんdandan ボタbota山yamaのno・・・小chiiそうなったよsounattayo
ぼくたちはbokutachiha おo星hoshiさまになってしもうたよsamaninatteshimoutayo
おo星hoshiさまのsamano金平糖konpeitou いっぱいippai食taべようbeyouネne・・・」
ボタbota山yamaのnoテッペンteppenにni 星hoshiがふたつgafutatsu
冬fuyuのno夜yoruのno寒空samuzoraにni瞬matataいているiteiru
苦kuruしみshimi多ooいi世yoのno中nakaをwo眺nagaめているmeteiru
悲kanaしげにshigeni 悲kanaしげにshigeni眺nagaめているmeteiru