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フジファブリック志村は何を考え生きていた?名曲『夜明けのBEAT』から読み解く

2001年に結成されメンバーの入れ替わり、ボーカル志村正彦の死を乗り越え今なお精力的な活動を続けるフジファブリック。


良質サウンドを製造するフジファブリック

2001年に結成されメンバーの入れ替わり、ボーカル志村の死を乗り越え今なお精力的な活動を続けるフジファブリック

ロックというジャンルを基盤に良質なサウンドを作り続ける。どんなアプローチから作曲していようとも、メロディの心地よさが光続ける。

そんなフジファブリックを語る上で欠かせないのはやはり志村正彦の存在だ。多くのファンに惜しまれながら、彼は2009年にこの世を去ってしまった。

一流である証明

存在しているだけで人を惹きつけられるというのは一流のアーティストの証明であり、志村はそれに該当する。彼が抜けたフジファブリックは良くも悪くも変わってしまった。

志村がいた当時の曲を奏でたとしても、彼がいるといないのでは曲が持つ世界観自体が変わる。それほど影響力のある志村は何を考え、何に主軸を置いて生きていたのだろうか。志村正彦 本人の口からはもう聞くことはできない。

しかし、自らの思考が歌詞に表れるのがアーティストだ。言ってしまえば志村正彦が残した歌詞は遺言に当たる。今回は、人気ドラマ「モテキ」の主題歌にもなった「夜明けのBEAT」を通して、29年という太く短い志村正彦の半生を解き明かしてみたい。

垣間見える志村の指針

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半分の事で良いから 君を教えておくれ
些細な事で良いから まずはそこから始めよう
≪夜明けのBEAT 歌詞より抜粋≫
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人は理解できないものに出会った時、考えるのを止めるか必死に理解しようとするかどちらかを選択している。

「半分の事で良いから君を教えておくれ」その歌詞からもわかるように志村は間違いなく後者なのだ。いつだって踏み出すことで人生を切り開いてきたのだろう。その生き方が彼の血となり肉となり、彼の言葉に重みが増す理由だ。

どこかのバンドが志村と似たような歌詞を書いているのかもしれない。

しかしながら、たとえそれが同じ字面だとしても決して同じ歌詞ではない。そこに人生が宿っているかどうかでその意味は大きく変わるのだ。疑問と真っ向勝負をしてきた志村が書く歌詞には明らかに個性が宿っている。

後半の「些細なことで良いからまずはそこから始めよう」という歌詞から、彼が「初動」を大切に考えていたと読み取れる。

「心が掌握される出来事が起これば、自らもすぐに行動してみる」これが彼の生き方の指針なのではないだろうか。

前向きさと見えてくる 心のノイズ

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ふしだらな夜も良いのさ たまにゃ何かを吐き出そう
街中に走る車の 音がなんだか耳障り
≪夜明けのBEAT 歌詞より抜粋≫
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彼は「ふしだらな夜」でさえ良しとして受け取る。マイナスさえも前向きに受け取ろうとする器量が、多くのリスナーの心を惹きつける理由なのである。

鬱積した想いを夜が吐き出し、朝が迎えにくる。この朝と夜は彼の心と解釈すれば問題なさそうだ。街中に走る車の音は彼の心にあるノイズであり、そのノイズを洗い流すのは「夜明けのBEAT」なのだ。

それは、次に出てくる歌詞からも理解が出来るはずだ。

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バクバク鳴ってる鼓動 旅の始まりの合図さ
これから待ってる世界 僕の胸は踊らされる
≪夜明けのBEAT 歌詞より抜粋≫
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好奇心に溢れ行動へと移す彼の鼓動はバクバクと鳴っている。これから何が起きるのか、その想像を彼は存分に楽しむ。

ここでの「踊らされる」という言葉はタイトルの夜明けのBEATと掛かっている。夜明けを想像するバクバクした鼓動がBEATとなって志村を踊らせているのだ。
どんな出来事が起ころうと、ただ素直に楽しく踊ろうとする。その心の持ち方がアーティスト志村を形成したといっても過言ではないはずだ。

自らの鼓動の高まりに従い、長いとは言えない生涯を一直線に駆け抜けた彼の存在は廃れることはない。

様々な死因が囁かれる志村、その心中を察するためにも彼の心とも言える歌詞を覗いた。精魂を込めて書いた夜明けのBEATの歌詞から彼が初動を大切にしていたのが伝わった。

疑問を疑問のまま終わらせず取っ組み合う勇気は時にノイズを作るが、同時にバクバクと鼓動を高鳴らすのだ。彼が残した言葉は、いつまでも踊り続ける。



TEXT:笹谷創(http://sasaworks1990.hatenablog.com/


2000年、志村正彦を中心に結成。2009年、志村が急逝し、2011年夏より山内総一郎(Vo/Gt.)、金澤ダイスケ(Key)、加藤慎一(Ba)の新体制で本格始動。 叙情性と普遍性と変態性が見事に一体化した、シーン屈指の個性派ロックバンド。 「銀河」、「茜色の夕日」、「若者のすべて」などの代表曲···

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