共感がとまらない名曲
フジファブリックが世に送り出した名曲『若者のすべて』。この作品には、いったいどんな想いが込められたのだろうか?
そして、今でも『若者のすべて』が、支持され愛され続けている理由はどこにあるのだろうか?
様々なアーティストが歌い継ぐ名曲
この曲は、2015年6月に発売された柴咲コウのカバーアルバム『こううたう』でもカバーされ収録されている。それだけでなく、過去には藤井フミヤやBank Band(桜井和寿)、Puffyなど有名ミュージシャンがライブステージ上などでも、カバーを披露している。
そもそも、この『若者のすべて』は、フジファブリック10枚目のシングル作品。そして、この楽曲を作った人物こそ、フジファブリックの元ボーカリスト兼ギタリストであった志村正彦だ。
そして、当時のフジファブリックでは、志村正彦が楽曲の全ての歌詞を作り・楽曲制作を行っていた。そのため、志村が2009年に亡くなるまでに80曲以上を作ったとされている。
志村制作曲の特徴
志村が作った曲には大きく3つの特徴があった。1つは脳内妄想全開の歌詞ストーリーであること。
2つ目は、細かな風景描写が入り乱れていること。
3つ目は、独特なメロディに乗っていること。これらがあわさって、思わず惹かれる作品になっているといえる…。
この楽曲『若者のすべては』、現在でもずっと歌われ続けている。
2007年に発売されてから、もう10年以上も経過しているにも関わらず…。次に、この曲がもつ魅力を歌詞を中心に紹介していこうと思う。
『若者のすべて』の魅力
----------------(中略)
真夏のピークが去った 天気予報士がテレビで言ってた
それでもいまだに街は 落ち着かないような 気がしている
≪若者のすべて 歌詞より抜粋≫
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最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
≪若者のすべて 歌詞より抜粋≫
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楽曲の舞台は、夏の終わりの風景を描いている。というのもこの歌は、志村の故郷である山梨県の風景をイメージした楽曲とされている。大きなインパクトを持つことが多い他の楽曲とは違い、シンプルで真っ直ぐであるのも特徴的だ。
志村は、レコーディング時からこの曲は名曲の予感。とブログで明かしていた。同時に、この曲を作れて救われた、とも記していた。
曲中で示されている事柄はそう多くない。夏の終わりであること、花火が上がっていること、僕がそれを眺めているということだ。
しかし、その少なさによって、季節の変わり目にぐらつく心の動きを感じることができるのだ。
大切な「瞬間」が刻まれている
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ないかな ないよな きっとね いないよな
会ったら言えるかな まぶた閉じて浮かべているよ
≪若者のすべて 歌詞より抜粋≫
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ないかな ないよな なんてね 思ってた
まいったな まいったな 話すことに迷うな
最後の最後の花火が終わったら
僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ
≪若者のすべて 歌詞より抜粋≫
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会う前には言いたいことが溢れているのに、いざ目の前にするとどうすればよいのか分からなくなる。
それでも、ただ会えたという事実に何かが変わる予感を覚えるのだ。
夏は様々な想いが残る
この曲中では、何年か越しでのおぼろげな夏を清算して前に進みたい。まさにこれから、何かが変わっていく予感がする。そんな瞬間が刻まれている。普段の生活でも、そんな瞬間に出会うことがあるはずだ。夏の終わりの風景をとてもシンプルに的確に捉えている名曲『若者のすべて』。しかし、淡々と語る裏でちゃんと希望を持たせてくれている。それだけに惹かれる人も多い。
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最後の最後の花火が終わったら
僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ
≪若者のすべて 歌詞より抜粋≫
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だからこそ、様々なアーティストにカバーされ、歌い継がれている。フェスや歌番組でも、愛され続けている。
『若者のすべて』は、きっとこれから先も歌い継がれていく楽曲であるには違いない。
●フジファブリック (Fujifabric) - 若者のすべて(Wakamono No Subete)
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TEXT:asta