有名な古典を学べるユニークな歌詞!
人気バンドKANA-BOONの代表曲『盛者必衰の理、お断り』。タイトルが良いですね。
この曲は「祇園精舎の鐘の声」ではじまる平家物語の冒頭を引用しています。
盛者必衰の理、お断り
この箇所をうまくポップなメロディにのせています。国語の必須項目をメロディにのせて覚えられる便利さ。さらにこの曲は寿限無まで学べます。寿限無は有名な古典の早口言葉。
歌詞上では「ジュゲムジュゲムゴコウノスリキレ」とカタカナ表記。絶え間ない早口言葉であることを強調させています。『ロックンロール県庁所在地』なみの「学べるソング」なんですね。
いつか終わっても、忘れないでいて
そしてさらに盛者必衰にしたくないという思いも込められた曲でもあります。
という若い男女の恋愛を歌っている歌詞でもある今作。しかし平家物語からの引用が示すようにその愛はいつか終わることも歌っています。
愛を誓った男女でもいつかは終わりをむかえるという無常観。しかしこの曲はその後さらに、
と続きます。歌唱上でもこの箇所を強調している構成。「いつかは終わるとしても忘れたくない」という強い思いが込められているのです。
いつまでも衰えないバンドに!
そしてこれは自分達バンドのことでもある。今は人気が上がってきていて「愛」をもらえている。でもこの状態がいつ終わるかもしれない。
あれだけファンだと宣言してくれた人もいつか「メロディが思い出せなく」なるかもしれない。そして自分達自身も熱かった時の自分たちの心の「メロディが思い出せなく」なるかもしれない。そんなことは悲しい、そうはしたくないという強い思いが込められています。
さらに言えばすべての恋愛観や文化に対しても「盛者必衰の理、お断り」したい思いを込めています。「盛り上がった者は必ず衰えるかもしれないけれど、それはお断りだ!」という思いを疾走感あふれるメロディにのせている歌。
この曲はそんな「無常観への抵抗」の歌でもあるんですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)
大阪・堺出身のロックバンド。2013年9月メジャーデビュー。 翌年8月、地元大阪にて、初の野外ワンマンを開催し16, 320人を動員するなど、瞬く間にトップバンドの仲間入りを果たす。2018年~2019年にかけ、メジャーデビュー5周年イヤー企画として、リリース&ライブ企画を精力的に展開。 初の···