「アイドルグループで売れました。」
山崎まさよしの『セロリ』。彼の代表曲として有名です。
この曲はもともと山崎まさよしが1996年に自分で発表した曲。翌年SMAPがこの曲をカバー。SMAPが歌ったことによりこの曲は一気に広まります。のちに山崎まさよしの名が有名になり、本人の代表曲として一般にも定着しました。
この流れがあったためでしょうか。サマーソニック2014のステージで山崎まさよし本人が「この曲は私で売れたのではありません!アイドルグループで売れました!」と曲紹介して歌いだしました。
聴く側はもちろん、山崎まさよし本人が歌うことで曲の魅力がよりひきたつことを知っています。
セロリ
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育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ
≪セロリ 歌詞より抜粋≫
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のフレーズで始まるこの曲。「育ってきた環境の違いによる好き嫌い」の歌であることが最初から示されています。
「否めない」を漢字でもなく、ひらがなの「いなめない」でもなくカタカナにしています。「否めない」という漢字だと強めの否定的なニュアンス。「いなめない」のひらがなだと優しい雰囲気にはなりますが、軽い感じに。
カタカナの「イナメナイ」にすることで「ちょっと残念だな」という絶妙な雰囲気を醸し出すことができます。「残念だなあ」を「ザンネンダナー」と表記することでやや軽いイメージにすることと似ています。
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夏がだめだったりセロリが好きだったりするのね
≪セロリ 歌詞より抜粋≫
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という歌詞で価値観の違い、楽曲が持っている夏らしさ、日常感をすべて表現しています。
ここのフレーズの「だめ」はひらがな。「駄目」という漢字だと強く「ダメ」というカタカナでもやや強いので、やわらかいひらがなにしています。
「セロリ」というチョイスが特に「好みが分かれる」食べ物として秀逸。ピーマンでもナスでもトマトでも好みが分かれそうな野菜は他にもありますが、セロリは特に好みが割れる野菜。
ある調査では、ここ数年で3年連続「嫌いな野菜」1位になってしまったのがセロリなのだそうです。「セロリ」という語感の良さもPOPSに合います。
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ましてや男と女だからすれちがいはしょうがない
≪セロリ 歌詞より抜粋≫
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と、男女間のすれ違いを認めつつもサビでは
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がんばってみるよ やれるだけ
がんばってみてよ 少しだけ
≪セロリ 歌詞より抜粋≫
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と努力の姿勢を見せる展開。そしてラストは、
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なんだかんだ言っても つまりは 単純に
君のこと好きなのさ
≪セロリ 歌詞より抜粋≫
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とストレートにシメて、この曲がラブソングであることを示しています。
『セロリ』は、山崎まさよしの名曲
▲セロリ / MV
山崎まさよし本人が出演する、日常と妄想が入り乱れるMVも楽曲の雰囲気を形成しています。
SMAPによって知られた曲ではありますが、山崎まさよし本人の力で深みが増した曲でもあるんですね。
TEXT:改訂木魚 (じゃぶけん東京本部)