1. 歌詞検索UtaTen
  2. コラム&特集
  3. バンド
  4. back number

back number「君はいらないだろうな」が私達に必要な理由

恋の痛手は次の恋で癒せばいい。なんて、なんの癒しにもならない。恋が終わるその時に本当に必要なもの。それは、こちらの痛みを無視してただ励ましてくる外野じゃない。本当に必要なのは、back numberの『君はいらないだろうな』だ。

失恋の痛手に必要なもの。それは励ましじゃない。back number


老若男女、誰それ問わず。恋を知る全ての人の胸に必ず一つは“グサリ"と刺さる歌詞がある!と思う程。恋歌が特に印象的なスリーピースバンドback number。

“グサリ"と刺さった歌詞は、恋をしている人には恋がより愛おしく。
恋をしたい人には、恋する希望を与える。

しかし、恋は喜びばかりではないのだ。
叶わない切なさや、壊れてしまった悲しみも喜びと同じ様に…いや、それ以上存在する。

恋の苦しみは孤独だ、恋の終わりは特に。
周りから見れば終わっていく事もそうだが、その恋に傷心している事を気遣い励ましてくれる。

その励ましの気持ちが嬉しいのは本当だけれど、傷心しているその心には、励ましよりも必要なものがある。

その必要なものがback numberの『君はもういらないだろうな』にはあるのだ。

恋の痛手に苦しんでいる人の傍で、この歌が心の味方となる様に。

『君はもういらないだろうな』の歌詞を恋の痛手を負った側の視点で、ゆっくり読み解いていきたいと思う。


『君はいらないだろうな』はズバリ男性の失恋の心内を描いた歌。

----------------
心変わりはもう仕方ないから
潔く君にふられよう
涙が出るのも仕方ないから
次の恋でもしよう
≪君はいらないだろうな 歌詞より抜粋≫
----------------

この『君はいらないだろうな』は、曲のタイトルから解るようにズバリ失恋の歌である。

男性側の心の内、恋の未練が素直に描かれている。「潔く君にふられよう」と決心しながら、想いを捨てきれない姿は胸を“キュン"とさせるものすらある。

本来、男性だって“人"なのだから恋に未練を持って傷心していたって可笑しい事は何一つない。

しかし“女々しい"なんて言葉があるくらい、男性が悲しみに暮れている事は“情けない事"と思われがちだ。この“情けない"という事が、恋の痛手を負っている者にとっては、傷口に塩を塗り込む事になる。

情けない姿というのは、哀れにも感じるが無様にも映る。

だからなのか、そんな姿を心配してかけてくる励ましの言葉は叱咤激励のようなものになりがちだ。

未練の前で渡される“早く忘れて次へ"という言葉に励まさせるのは、まだ先の話なのだ。
好きな人を想って「涙が出るのも仕方ない」と泣いているのだから。

恋の苦しみは乗り越えるべきもの、と教えてくれる。

----------------
少しずつ少しずつ 君から離れていこう

君といられて僕は幸せで
今更そんな言葉は 旅立つ邪魔になるだけだ
あげられるものを探してみるけど 君は
きっと君はいらないだろう
≪君はいらないだろうな 歌詞より抜粋≫
----------------
(中略)
----------------
君が笑うと僕は嬉しくて
今更そんな想い出は 重い荷物になるだけだ
気の利いた言葉探してみるけど 君は
きっと君はいらないだろう
≪君はいらないだろうな 歌詞より抜粋≫
----------------

恋の終わりをしっかりと自覚し現実も見つめている。

頭ではちゃんとわかっているのだ。
ただ、心がその現実に追いついていない状態。

たったそれだけの状態なのだ。

しかし、恋をすると、心は頭とは全く別の反応をする時がある。

心は、頭でわかっている事を受け入れる事が出来ない事があるのだ。

その状態を“情けない"からと叱咤激励されても、何も響かない。「

少しずつ少しずつ」だけれど「君から離れていこう」「君のいらない僕になろう」と、“今の君が一番望んでいる事"を叶えてあげられるように、孤独の中で恋を失う覚悟を決めて懸命に努力しているのだから。

恋の苦しみの正体は、“孤独"だ。
「君といられて僕は幸せ」「君が笑うと僕は嬉しくて」と心底、愛した人の中から自分との未来が無くなる。
自分の存在も想いも必要とされなくなる。

存在と愛を自分は必要としているが、その人からは求めてはもらえない事。
自分の想いと全て真逆の事を、努力しなくてはならない。それが苦しいのだ。

その苦しみの中で、想いを巡らせる度「きっと君はいらないだろう」と思った事。

それは、裏返せば自分が愛する人にしてあげたい事だ。

恋の苦しみというのは当事者が選んだもの。

それは選んだ瞬間、乗り越えるべきものになる。

別れを幸せに繋げるために必要なもの。

----------------
恋したもんはもう仕方ないから
胸の奥にしまっとこう
涙が出るのも仕方ないから
次の恋でもしよう
≪君はいらないだろうな 歌詞より抜粋≫
----------------

恋の苦しみの先にあるものが、この一節に全て描かれている。
そう、恋の終わりだ。

しかし、この恋の終わりにはお互いの幸せがちゃんと用意されている。

「恋したもんはもう仕方ないから」「胸の奥にしまっておこう」。

それは、彼女の願いを叶えてあげられたという事だ。自分と別れを決めた愛する人が唯一、笑顔になるプレゼント“さようなら"という一言を伝える事が出来たのだ。

別れは悲しい。
想いが途切れる事も苦しい。
それでも愛おしい彼女の手を離した事は、彼女のこれからの幸せを手渡した事になるのだ。

そして、彼女を幸せにしてあげられた自分の涙の後。別れの先には新たな恋が待っている。

恋の痛み。
それは、恋を知る誰しもが負った事のあるもの。

しかし、その痛みを100%理解する事、慰める事は誰にも出来ないのだ。
時には、苦しみに追い打ちや憤りを抱くような言葉をかけられる事もある。

だからこそ『君はいらないだろうな』が必要なのだ。

この歌には“誰もわかってくれない"という孤独に寄り添いながら、失恋から立ち直るために必要な苦しみの正体。

「もう彼女は僕を必要としていない」という事を、何度でもはっきりと言葉にしてくれるのだ。

人は苦しみの正体を知らなければ、いつまでも前を見ることが出来ないから。


もしも失恋しそうな人、そんな人が傍にいるなら。

最後に愛しい人へ贈ることの出来る幸せのプレゼント。

このback numberの『君はいらないだろうな』と一緒に少しずつでいいから、考えてみてほしい。

この曲と共に手渡した最後のプレゼントは、必ず生涯忘れる事のない愛する人の笑顔を生み出す。

そして、その笑顔が見られたら「次の恋でもしよう」って涙を拭えるはずだから!


TEXT 後藤かなこ

歌詞の意味を解読!?厳選歌詞コラム3選

■【歌詞コラム】大不正解で開いたback numberの新境地とは

■【歌詞コラム】back numberが語る「こわいはなし」

■【歌詞コラム】切なさが良い。back number「ゆめなのであれば」

Vocal & Guitar : 清水依与吏(シミズイヨリ)  Bass : 小島和也(コジマカズヤ) Drums : 栗原寿(クリハラヒサシ) 2004年、群馬にて清水依与吏を中心に結成。 幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年現在のメンバーとなる。 デビュー直前にiTunesが選ぶ2011年最もブレイクが期待でき···

この特集へのレビュー

この特集へのレビューを書いてみませんか?

この特集へのレビューを投稿

  • ※レビューは全角500文字以内で入力してください。
  • ※誹謗中傷はご遠慮ください。
  • ※ひとつの特集に1回のみ投稿できます。
  • ※投稿の編集・削除はできません。
UtaTenはreCAPTCHAで保護されています
プライバシー - 利用契約