FM802がプロデュースするRadio Bootsyとは
関西圏を放送エリアとするラジオ局FM802は毎年、春のオリジナルキャンペーンソングを802とゆかりの深いアーティストと制作するプロジェクトを実施しています。今までのキャンペーンソングを振り返ると、2020年は作詞・奥田民生、作曲・永積 崇(ハナレグミ)の『僕のBUDDY!』、2019年は作詞作曲・aikoの『メロンソーダ』、
2018年は作詞作曲・尾崎世界観(クリープハイプ)の『栞』が記憶に新しいです。
FM802のリスナーを始め、毎年春に発表されるキャンペーンソングを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
2021年は作詞作曲を川谷絵音が担当し、ユニット名は『Radio Bootsy』に決定。
参加シンガーは、川谷絵音・ホリエアツシ(ストレイテナー)・北村匠海(DISH//)・長屋晴子(緑黄色社会)・三原健司(フレデリック)・yamaといった豪華なメンバーです。
音楽のジャンルや声質、キャリアなど全く異なるメンバーですが、それぞれの個性が活かされた最高の歌割りになっているので、まだ聴いていないという方はぜひ楽曲を聴いてみてください。
FM802の特設サイトの情報によると、各ストリーミングサービスを利用した4月23日から9月30日までの期間限定配信があるほか、MVも期間限定で公開中です。
「春は溶けて」という歌詞の意味は
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いつぞやの椿 花から花へと
夢のような膨らんだ季節
≪春は溶けて 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞に、椿という花が出てきます。
椿は1~4月頃に咲く花で、厳しい寒さを越えることから、耐冬花とも呼ばれます。
春といえば桜ですが、あえて椿で表現したのは何か意図があるのでしょうか。
今年の春に関しては、「厳しい寒さ」を「コロナ禍」と捉えて、コロナ禍を耐えて春を迎えようというメッセージとしても聴けるかもしれません。
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春は溶けてまばらに色付いて世界抉ったんだ
幸せだと思える一瞬はいつでもどこかに
≪春は溶けて 歌詞より抜粋≫
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曲名にもなっている「春は溶けて」という言葉の後に、「幸せだと思える一瞬はいつでもどこかに」という歌詞が続きます。
春は訪れるものではなく、溶けてそこにあるもの。
幸せも同じように、訪れるものではなく、はじめからそこにあるものだという意味だと解釈できそうです。
ちなみに、椿には「控えめな素晴らしさ」という花言葉があります。
コロナ禍で色々な行事ができず、春を感じにくくなりましたが、今年の控えめな春も愛してほしいという優しいメッセージが込められているのかもしれません。
なぜ「僕らはひたすらに自由」なのか
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切って貼った春は 都合良く芽吹いた
いつでも新しくなるさ
何度だって会って 別れては重ねて
僕らはひたすら自由だ
≪春は溶けて 歌詞より抜粋≫
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「切って貼った春」という表現は、日常ではまり見かけない言葉の繋ぎ方ですよね。
春は訪れたり去ったりしていくものであって、切って貼るようなものではないように思います。
何故、あえてこのような表現を使ったのでしょうか。
切ったり貼ったりするというのは、まるで工作をしているかのような動作です。
春は溶けてそこにあって、幸せもはじめからそこにあるものですが、その春や幸せというものは、もしかしたら切ったり貼ったりして、自分で作ることもできるのかもしれません。
与えられた状況に従うしかないのではなく、自分で状況を変えたり、幸せを生み出したりできるからこそ、「僕らはひたすらに自由」なのだと言えるのではないでしょうか。
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大人になり 椿は色付いて距離を取るだろう
それはそうと 悪くはない話だから
≪春は溶けて 歌詞より抜粋≫
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「距離を取る」という言葉は、コロナ禍の社会状況を表現したような歌詞ですが、その後に「それはそうと悪くはない話だから」と続きます。
そう言えるのは、距離をとって個人の時代になっても、自分のそばにあった幸せを見つけたり、自分の中から幸せを生み出したりできると気づいたからなのかもしれません。
この曲をそばに置くことで、どの季節にも溶けた春を感じて、どんな日常でも小さな幸せを見つけたり生み出したりしながら今を歩んでいけそうですね。