世間せけんは春はるでも祭まつりでも
私わたしにゃなんでもないのさ
お針子はりこ暮ぐらしで空むなしく
ただ歳としを取とって行いくのさ
みにくい女おんなの私わたしでも
今日きょうは楽たのしい騒ざわめき
祭まつりに華はなやぐ街並まちなみへ
誘さそわれ入はいって行いった
おずおず近ちかより
見回みまわし 躊躇ためらい 震ふるえて
思おもわず立止たちどまれば
私わたしを嘲笑あざわらっているよな
踊おどりに狂くるいまわる人々ひとびと
人ひとの波なみが押おし寄よせ
私わたしを抱だきこみ
踊おどりの渦巻うずまきの中なかへ
戸惑とまどう私わたしの愚おろかな指ゆびを
誰だれかの手てがしっかりと掴つかんだ
激はげしく抱だかれて見上みあげれば
明あかるく笑わらった眼差まなざし
子供こどものようにイタズラな
若者わかものの甘あまい微笑ほほえみ
見詰みつめるその人ひとの瞳ひとみに
何故なぜか胸むねがときめき
息いきも出来できない苦くるしさに
ただ見返みかえすばかり
そのうち思おもわず微笑ほほえみ
互たがいに抱だき合あい
踊おどりの渦うずの中なかへ
初はじめて知しる恋こいの心こころに
妖あやしく乱みだれる紙吹雪かみふぶき
くるくる廻まわりながら
見上みあげる空そらには
バラ色いろの雲くもが輝かがやき
生うまれて初はじめて知しる幸福しあわせよ
この思おもいよ 永久とわに 永遠えいえんに
その時ときいきなり押おし寄よせた
踊おどりに狂くるった群衆ぐんしゅう
悪魔あくまの使つかいのその波なみが
彼かれを奪うばい連つれ去さる
揉もみ合あい犇ひしめく人波ひとなみを
夢中むちゅうでかきわけ かきわけ
捜さがせばまたもその波なみが
彼かれを奪うばい連つれ去さる
人ひとの気持きもちも知しらず
騒さわぎに騒さわいで
笑わらってさざめく群衆ぐんしゅう
ただ一度いちどの恋こいの歓よろこびを
与あたえて またそれを持もち去さる
捜さがし疲つかれて一人ひとり佇たたずむ
孤独こどくな夕陽ゆうひが沈しずみかける町まち
涙なみだに霞かすみながら遠とおのく
群衆ぐんしゅうを私わたしは憎にくむの
訳詞:美輪明宏
世間sekenはha春haruでもdemo祭matsuriでもdemo
私watashiにゃなんでもないのさnyanandemonainosa
おo針子hariko暮guraしでshide空munaしくshiku
ただtada歳toshiをwo取toってtte行iくのさkunosa
みにくいminikui女onnaのno私watashiでもdemo
今日kyouはha楽tanoしいshii騒zawaめきmeki
祭matsuriにni華hanaやぐyagu街並machinamiへhe
誘sasoわれware入haiってtte行iったtta
おずおずozuozu近chikaよりyori
見回mimawaしshi 躊躇tameraいi 震furuえてete
思omoわずwazu立止tachidoまればmareba
私watashiをwo嘲笑azawaraっているよなtteiruyona
踊odoりにrini狂kuruいまわるimawaru人々hitobito
人hitoのno波namiがga押oしshi寄yoせse
私watashiをwo抱daきこみkikomi
踊odoりのrino渦巻uzumakiのno中nakaへhe
戸惑tomadoうu私watashiのno愚orokaなna指yubiをwo
誰dareかのkano手teがしっかりとgashikkarito掴tsukaんだnda
激hageしくshiku抱daかれてkarete見上miaげればgereba
明akaるくruku笑waraったtta眼差manazaしshi
子供kodomoのようにnoyouniイタズラitazuraなna
若者wakamonoのno甘amaいi微笑hohoeみmi
見詰mitsuめるそのmerusono人hitoのno瞳hitomiにni
何故nazeかka胸muneがときめきgatokimeki
息ikiもmo出来dekiないnai苦kuruしさにshisani
ただtada見返mikaeすばかりsubakari
そのうちsonouchi思omoわずwazu微笑hohoeみmi
互tagaいにini抱daきki合aいi
踊odoりのrino渦uzuのno中nakaへhe
初hajiめてmete知shiるru恋koiのno心kokoroにni
妖ayaしくshiku乱midaれるreru紙吹雪kamifubuki
くるくるkurukuru廻mawaりながらrinagara
見上miaげるgeru空soraにはniha
バラbara色iroのno雲kumoがga輝kagayaきki
生uまれてmarete初hajiめてmete知shiるru幸福shiawaseよyo
このkono思omoいよiyo 永久towaにni 永遠eienにni
そのsono時tokiいきなりikinari押oしshi寄yoせたseta
踊odoりにrini狂kuruったtta群衆gunsyuu
悪魔akumaのno使tsukaいのそのinosono波namiがga
彼kareをwo奪ubaいi連tsuれre去saるru
揉moみmi合aいi犇hishimeくku人波hitonamiをwo
夢中muchuuでかきわけdekakiwake かきわけkakiwake
捜sagaせばまたもそのsebamatamosono波namiがga
彼kareをwo奪ubaいi連tsuれre去saるru
人hitoのno気持kimochiもmo知shiらずrazu
騒sawaぎにgini騒sawaいでide
笑waraってさざめくttesazameku群衆gunsyuu
ただtada一度ichidoのno恋koiのno歓yorokoびをbiwo
与ataえてete またそれをmatasorewo持moちchi去saるru
捜sagaしshi疲tsukaれてrete一人hitori佇tatazuむmu
孤独kodokuなna夕陽yuuhiがga沈shizuみかけるmikakeru町machi
涙namidaにni霞kasuみながらminagara遠tooのくnoku
群衆gunsyuuをwo私watashiはha憎nikuむのmuno
訳詞:美輪明宏