忘れられない過去
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幻だと諦めた 信じること簡単じゃない
忘れた もう思い出せない
なんてね ほら 全部嘘だろ
≪crystal 歌詞より抜粋≫
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一度失った信頼を取り戻すことが困難であるように、猜疑心を一度持ってしまうと、素直に物事を受け止めることは非常に難しいものです。
表面上は無関係であるように装いながら、心の奥底に暗い炎をたぎらせた真野礼二を彷彿させる歌詞です。
強がって忘れたふりをしても、心の底に痛みはあり、いつまでも苦しめられるのです。
真野が事件の真相を探ることをやめなかったように、「悲しい出来事をなかったことにして、無理に前を向く必要なんてないよ」と 言っているようです。
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僕らは 旅人
暗闇を掻き分け 地図探す
何度も 躓き
それでも瞳を凝らして ひと筋の光求めて
≪crystal 歌詞より抜粋≫
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真実を追い求めることは簡単ではありません。
何度も傷つき、裏切られ、身も心も追い詰められていくことだってあるでしょう。
やっと見つけたと思った真実の欠片が、実はまがいものかもしれません。
一緒に真実を追い求めてくれるはずの人が、実は敵かもしれません。
光の見えない暗闇の中で、それでもどうにか前に進もうともがいている姿が、真野と重なって切ない歌詞です。
本物を探すことがどんなに苦しい道でも、後戻りはできません。
光を掴みたい、報われたいという気持ちが、前へ前へと突き動かすのでしょう。
前へ進みたいという願い
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流した涙の数だけ強くなれるなんて 知らない
だけどわかることはひとつ 立ち止まってなんてないと
≪crystal 歌詞より抜粋≫
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この部分はまさに、真野礼仁の姿と重なります。
彼が復讐を遂げなかった理由も、前に進みたいからでした。
訳も分からず家族を失い、残酷な真相を告げられてもなお、怒りに飲まれて手を汚すことはありませんでした。
理性を失ってもおかしくない場面で彼を思いとどまらせた思いこそ、「前進したい」という強い思いです。
事件の真相を知るまでは、過去から一歩も動くことができません。
真相を知ってもなお、望んでいたような救いは訪れませんでした。
それでも、殺人を犯してしまったら、一生明るい未来を手にすることはできません。
真野は、その先に幸せがあろうとなかろうと、とにかく過去の呪縛から逃れたかったのでしょう。
どんなに小さな一歩でも、前に進みたい。
そんな願いを言葉にしたような「立ち止まってなんてない」という歌詞が胸に刺さります。
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隠した痕 痛みはない 眠れない夜に軋むだけ
誰も泣いてなんていないのさ
なんてね ほら 全部嘘だろ
全部嘘だろ
≪crystal 歌詞より抜粋≫
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痛む胸を押さえても、悲しみは消えません。
強がることに何の意味もないのです。
だから顔を上げて、痛みも悲しみも受け入れて、事実を事実として飲み込むしかないのです。
「crystal」とは何か?
『crystal』には、たびたび「crystal」という言葉が登場します。水晶ともいわれる「crystal」が、楽曲内で印象的に使われています。
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震えないで crystal
誰が泣いた?
歩き出した日から どれほどかな…
≪crystal 歌詞より抜粋≫
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「crystal」は、震えたり、乱反射したりしています。
光を乱反射する様は、まさに宝石のクリスタルを彷彿とさせます。
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震えないで crystal
乱反射
ココロざらついたなら 走ればいいんだ
息切らしてみても 倒れても
いつか見た夢を探してるよ
≪crystal 歌詞より抜粋≫
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クリスタルが乱反射して、心がざわつく。
体を動かすことで、頭で考えるより感じようとしています。
心をざわつかせるクリスタルは、一体何を乱反射したのでしょうか?
生きているとどうしても、様々な感情に心が乱されます。
千々に乱れる心を「乱反射」と言っているのなら、クリスタルは心の中にあって、感情を揺さぶる存在なのでしょう。
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夢じゃないんだ crystal
触れられる
強がりでもいいんだ 信じ抜いて
進みたいんだ crystal
手を伸ばして
キミを抱いて行くよ 行くよ
≪crystal 歌詞より抜粋≫
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クリスタルはどうやら、心の中にあるようです。
痛みも苛立ちも悲しみも、コントロールしきれない様々な感情を「crystal」と表現して、それを抱きかかえたまま進んで行くことを決意しています。
人の心はきれいなばかりではありません。
たとえいびつでも、自分だけの大切な「crystal」。
それを受け入れることでしか、人は前に進むことができないのです。
「crystal」は涙
こうしてみると、「crystal」は涙でもあるようです。心がざわつき、千々に乱れ、途方に暮れた時に流す涙。
涙なくして成長はありませんし、涙を流すことなく、辛い過去を乗り越えることなどありません。
あの日の涙をなかったことにする必要も、涙を堪える必要もないのです。
涙が心の悲鳴ならば、心の声に耳を澄ませ、受け入れることが必要です。
痛みが分かるからこそ優しくなれる。
誰かと悲しみを分かち合うことができるのです。
ずっと避けてきた辛い過去も涙も痛みも、全部引き連れて前に進もうとしています。
「キミを抱いて行く」というように、涙も自分の一部として受け入れて始めて、新たな一歩を踏み出すことができるのです。
終わりのない旅路に見えても、自分に素直になったら、きっと何かが見えてくるでしょう。
そんな、ささやかな光、希望を感じさせる終わり方が印象的です。
TEXT 岡野ケイ
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