昭和の曲は月日が経っても色褪せることなく、今もなお、多くの人から愛されています。
なかでも、今回紹介する卒業ソングは、人との別れや新たな旅立ちを歌った名曲が多く、自身の「卒業」と重ねながら聴く人も多いのではないでしょうか。
昭和の卒業ソング【女性歌手編】
昭和の時代は、卒業をテーマにした聴き手の心に沁みる名曲が多いですよね。
昭和を知らない若者からも愛され、幅広い世代が歌える曲が多くあります。
そこで、女性歌手が歌う昭和時代の卒業ソングを紹介します。
いい日旅立ち / 山口百恵
昭和の名曲「いい日旅立ち」は、谷村新司さんが作詞作曲したことでも有名ですよね。
「いい日旅立ち」のCD累計売上枚数は100万枚を突破し、山口百恵さんの楽曲のなかでも大ヒットした曲です。
Aメロの「帰らぬ人達 熱い胸よぎる せめて今日から一人きり 旅に出る」という歌詞から「いい日旅立ち」の背景が見えてきます。
帰らぬ人は両親を表し、悲しい現実から距離を置くための旅だということがわかる、切ないフレーズです。
大事な人との思い出が詰まった故郷を、忘れようとしているのかもしれません。
後に続く「あぁ日本のどこかに 私を待ってる人がいる」というサビ。
「故郷には私を待っている人はいないけど、日本のどこかに私を待っていてくれる人がいる」と、切ないながらも前を向こうとする主人公が描かれています。
山口百恵「いい日旅立ち」歌詞の意味を考察!主人公が旅へ出る理由とは
春なのに / 柏原芳恵
「春なのに」は、作詞作曲を中島みゆきさんが担当したことでも知られる切ない曲。
「卒業だけが理由でしょうか」という、別れが卒業だけではないことを察した主人公の切ない気持ちから曲は始まります。
サビは「春なのに お別れですか 春なのに 涙がこぼれます」という心が締めつけられるフレーズ。
春は「新たな気持ちで頑張ろう」と前向きになれる季節ですよね。
しかし、主人公にとってはつらく、悲しい別れを迎えることになったのです。
主人公は、好きな人と一緒に春を迎えたかったのでしょう。
「春なのに」と繰り返される歌詞がより切なさを強調し、考えるだけでも泣ける卒業シーズンにぴったりの曲です。
翼をください / 赤い鳥
音楽の教科書に掲載されている、定番の合唱曲といえば「翼をください」ですよね。
しかし、学生の頃は、歌詞の意味を深く考えずに歌っていた人も多いのではないでしょうか。
一番では「白い翼が欲しい」という願いを明かしています。
サビの歌詞は「この大空に翼を広げ 飛んで行きたいよ 悲しみのない自由な空へ 翼はためかせ行きたい」とあります。
この歌詞から、翼が自由になるための手段であることがわかりますよね。
苦しくて悲しい現実から抜け出したかったのかもしれません。
作詞家の山上路夫さんは小児喘息を患っており、学校を休みがちでした。
歌詞には「この時の気持ちが含まれていたのかも」と、後にコメントしています。
「翼をください」は、自由と平和を願う強い思いで溢れた歌なのです。
なごり雪 / イルカ
「なごり雪」は、昭和世代の人なら誰もが知っている名曲。
イルカさんの曲というイメージが強い「なごり雪」ですが、もともとはかぐや姫の曲であることを知らない人も多いのではないでしょうか。
「なごり雪」は、駅での別れを描いた切ない曲です。
「動き始めた汽車の窓に顔をつけて 君は何かを言おうとしている 君の口びるが「さようなら」と動くことが こわくて下をむいてた」という歌詞。
「なごり雪」がリリースされた1970年代は、今のように新幹線や飛行機を気軽に利用できる時代ではありません。
インターネットの普及も追いついていない時代だからこそ、一度離れたらそう簡単には会えないのです。
つまり、恋人と永遠の別れであるということ。
「なごり雪」は、昭和ならではの切ない気持ちが溢れた曲なのです。
「なごり雪」歌詞の意味を考察!季節はずれの雪が意味するものとは?
時代 / 中島みゆき
1975年にリリースされた中島みゆきさんの「時代」。
日本の歌百選にも選出されるほどの名曲で、小学校の教科書にも掲載されています。
歌い出しが「今はこんなに悲しくて 涙もかれ果てて もう二度と笑顔には なれそうもないけど」と悲しみがわかるフレーズ。
しかし、その後に「そんな時代もあったねと いつか話せる日がくるわ あんな時代があったねと きっと笑って話せるわ」と温かく寄り添う歌詞が続きます。
また、多くの人が耳にしたことのあるサビのフレーズ「まわる まわるよ 時代はまわる」。
「今はつらくても笑える日はくるよ」という、ポジティブになれる優しいメッセージが込められているのです。
じゃあね / おニャン子クラブ
おニャン子クラブは、昭和の大人気アイドルとして活躍した女性グループ。
卒業ソングとして知られる「じゃあね」は、明るく軽やかなメロディーが特徴の曲です。
別れを歌っているのにもかかわらず、悲しさや切なさを感じない歌詞に、どこか心が弾むような感覚を覚える人も多いのではないでしょうか。
歌詞のなかに何度も出てくる「振り向けば ほら友達」という歌詞はここで別れても「ずっと友達だよ」という意味が込められています。
友情の絆が強く、別れを前向きに捉えているのがわかりますよね。
最後に「じゃあね」と、曲を明るく締める素敵な終わり方にも注目しながら聴いてみてくださいね。
昭和の卒業ソング【男性歌手編】
昭和時代を知っている人なら誰でもわかる名曲は、今もなお、歌われ続けています。
なかでも、卒業ソングは別れを意味する一方で、新しい門出を応援する明るいメッセージが込められているのです。
ここからは、男性歌手が歌う昭和の卒業ソングを紹介します。
乾杯 / 長渕剛
長渕剛さんの「乾杯」は、結婚式や卒業ソングとして長きにわたり親しまれている名曲。
1980年にリリースされてから40年以上経ちますが、今でも世代を超えて愛される長渕剛さんの代表曲です。
もともとは、友人の結婚式を祝う曲として作られましたが、音楽の教科書にも掲載され、卒業式や門出にぴったり。
サビの最後のフレーズ「君に幸あれ」は「君」へのエールが込められています。
シンプルでゆったりとしたメロディーと、友人を思う歌詞が心に沁みる一曲です。
想い出がいっぱい / H2O
「想い出がいっぱい」は、あだち充さん原作「みゆき」のアニメ主題歌になった曲で、少女から大人になる一人の女性の姿を描いています。
「大人の階段昇る 君はまだシンデレラさ 幸福は誰かがきっと 運んでくれると 信じてるね」というサビ。
少女は、大人の階段を昇れば、いつか自分を幸せにしてくれる王子様のような存在に巡り会えると信じています。
しかし、少女は気づくのです。
「ガラスの階段降りる ガラスの靴シンデレラさ 踊り場で足を止めて 時計の音 気にしてる」と。
シンデレラが幸せでいられるのは12時まで、つまり、階段を降りたら幸せな時間が終わるのです。
誰にでも忘れられない想い出はあるはず。
「想い出がいっぱい」は、少女の青春を描いた昭和を代表する卒業ソングなのです。
H2O「想い出がいっぱい」歌詞の意味とは?少女だった「君」へ捧ぐメッセージソングを考察!
高校三年生 / 舟木一夫
舟木一夫さんのデビュー曲「高校三年生」は、ミリオンセラーになった大ヒット曲。
レコード大賞や新人賞を受賞した、舟木一夫さんの代表曲です。
歌詞のなかに出てくる校舎は、世田谷区にある私立松蔭高校がモデルになりました。
松蔭高校には「高校三年生」の歌詞が書かれた歌碑があります。
歌碑によると「フォークダンスの手を取れば 甘く匂う黒髪」という歌詞は、作詞者が同校の文化祭を取材した時、フォークダンスを踊る生徒を見て歌詞にしたそうです。
また、レコーディング時の舟木一夫さんは、タイトルと同じ高校三年生。
レコードジャケットは、舟木一夫さんの母校の制服を着て撮影されています。
贈る言葉 / 海援隊
3年B組金八先生の主題歌となり、幅広い世代の人が耳にしたことのある贈る言葉。
卒業ソングの定番となり、昭和を知らない世代の若者からも受け入れられている名曲です。
武田鉄矢さんの語りかけるような優しい歌い方が印象的で、歌詞が頭に入ってきやすいと感じる人も多いのではないでしょうか。
「贈る言葉」は、主人公が「あなた」に言葉を贈ろうとする曲。
しかし、途中で「あなた」への強い思いが溢れ、上手に伝えられなくなってしまいます。
最後まで言葉を贈れないまま、別れを迎える切ない曲なのです。
海援隊「贈る言葉」歌詞の意味とは?王道の卒業ソングに込められた人生訓に迫る!
心の旅 / チューリップ
「心の旅」はチューリップの大ヒットソングで、今もなお、愛され続けている名曲です。
綾香さんや桑田佳祐さんなど、20人以上のアーティストがカバーしており、昭和を知らない若者でも聴いたことがある人は多いはず。
主人公が自分の夢を叶えるために彼女との別れを決意し、その時の心境を歌った曲です。
「もしも許されるなら 眠りについた君を ポケットにつめこんで そのまま連れ去りたい」という歌詞から、別れを名残惜しく思う気持ちが伝わってきますよね。
主人公は、手放したくない最愛の彼女と離れて生きていく…そんな寂しくてつらい気持ちを抑えて、新しい世界に一歩踏み出そうとしているのです。
別れを惜しみながら前に進もうとする歌詞は、卒業にぴったりの曲だといえるでしょう。
『いちご白書』をもう一度 / バンバン
バンバンが歌う「『いちご白書』をもう一度」は、学生運動をテーマにした曲。
大人になってから青春時代を思い出させる歌詞が印象的です。
曲の始まりは、青春真っ只中の学生時代。
主人公は、彼女と学校を抜け出して映画「いちご白書」を見に行きます。
「いちご白書」は、1970年初期に上映されたアメリカ映画。
主人公は映画を見て「就職するのはカッコ悪い」と感じます。
しかし、就職先が決まった後、自身のステータスでもある長い髪や髭を剃って、社会へと羽ばたくのです。
「『いちご白書』をもう一度」は、社会で輝くために青春に別れを告げた「卒業」にふさわしい曲なのです。
“卒業”が曲名に入る昭和の名曲
時代を超えて愛され続けている昭和の卒業ソング。
多くの人を魅了し、懐かしさや想い出を頭に思い描きながら、時間を忘れて聴き入ってしまいますよね。
最後に“卒業”が曲名に入る昭和の名曲を紹介します。
卒業写真 / 荒井由実
「卒業写真」は、定番の卒業ソングともいえる名曲で、多くのアーティストにカバーされています。
学校を卒業した後を描いており、メッセージ性のある楽曲です。
「人ごみに流されて 変わっていく私を あなたはときどき 遠くでしかって」というサビの歌詞。
主人公は、変わっていく「私」に情けなさを感じています。
誰かに自分を正してほしいと思っているのでしょう。
そんな主人公が大人になって思うことがあります。
「あの頃の生き方を あなたは忘れないで あなたは私の 青春そのもの」。
「何があっても自分らしく生きよう」というメッセージが込められており、前を向く主人公の姿が印象的な卒業シーズンにふさわしい楽曲です。
松任谷由実「卒業写真」の歌詞の意味を考察!歌詞に込められたメッセージとは?
卒業 / 斉藤由貴
当時19歳の斉藤由貴さんが歌う「卒業」は、1985年にリリースされた曲。
子どもらしいあどけなさと、柔らかく透明感のある声に魅了された人も多いのではないでしょうか。
「卒業」は、卒業式を迎えた女子高生の心情を描いた、切なくも共感できる歌詞が印象的です。
いつも好きな人に素っ気ない主人公ですが「セーラーの薄いスカーフで 止まった時間を結びたい」と、本音を漏らします。
卒業後は、セーラー服を着ることがありません。
つまり、彼女の願いは叶うことはないのです。
曲の終盤では「あぁ 卒業しても友だちね それは嘘ではないけれど でも過ぎる季節に流されて 逢えないことも知っている」という歌詞。
最後まで恋人とはいえず、女子高生の強がりと切なさを描いた青春の曲なのです。
卒業 / 尾崎豊
尾崎豊さんの「卒業」は、聴く人によって解釈が変わる昭和の名曲です。
「夜の校舎 窓ガラス 壊してまわった 逆らい続け あがき続けた 早く自由になりたかった」という歌詞に影響され、実際に窓ガラスを割った学生がいるほど。
当時の若者に、大きな影響を与えたのです。
一部の人は厨二病をイメージし、歌詞に共感できない人もいました。
その一方で「仕組まれた自由=自由は存在しない」と捉える人も。
窓ガラスを割る行為は、本物の自由ではないと解釈する人も多かったのです。
なかには「学校や大人からの束縛にうんざりしている」という気持ちの表れだと解釈する人もいます。
どの解釈が自分に近いのか、また、曲を聴いて違う考察が生まれるのか、歌詞の意味を考えながら聴いてみてくださいね。
昭和の卒業ソングは心に響く名曲だらけ!歌詞と思い出を照らし合わせてみよう
今回は、昭和の卒業ソングを紹介しました。
時が経っても心に残る名曲が多く、幅広い世代から愛され続けています。
合唱曲に使用されている曲もあるため、昭和を知らない若者も知っている曲が多くあるはず。
昭和の名曲は、時代を超えても色褪せずに残り続けているのです。
歌詞の意味を考えながら聴くと、より心に沁みますよ。
ぜひ、歌詞と自身の思い出を照らし合わせながら、昭和の名曲を楽しんでくださいね。
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