或あの日湯島聖堂ひゆしませいどうの白しろい
石いしの階段かいだんに腰こしかけて
君きみは陽溜ひだまりの中なかへ盗ぬすんだ
檸檬れもん 細ほそい手てでかざす
それを暫しばらく
みつめた後あとで
きれいねと云いった
後あとで齧かじる
指ゆびのすきまから蒼あおい空そらに
金糸雀色カナリアいろの風かぜが舞まう
喰たべかけの檸檬れもん
聖橋ひじりばしから放ほおる
快速電車かいそくでんしゃの赤あかい色いろが
それとすれ違ちがう
川面かわもに波紋はもんの拡ひろがり
数かぞえたあと
小ちいさな溜息混ためいきまじりに
振ふり返かえり
捨すて去さる時ときには
こうして出来できるだけ
遠とおくへ投なげ上あげるものよ
君きみはスクランブル交差点こうさてん
斜ななめに 渡わたり乍ながら
不意ふいに涙なみだぐんで
まるでこの町まちは
青春達せいしゅんたちの
姥捨山うばすてやまみたいだという
ねェほらそこにも
ここにも かつて
使つかい棄すてられた
愛あいが落おちてる
時ときの流ながれという名なの鳩はとが
舞まい下おりて
それをついばんでいる
喰たべかけの夢ゆめを
聖橋ひじりばしから放ほうる
各駅停車かくえきていしゃの檸檬色れもんいろが
それをかみくだく
二人ふたりの波紋はもんの拡ひろがり
数かぞえたあと
小ちいさな溜息混ためいきまじりに
振ふり返かえり
消きえ去さる時ときには
こうしてあっけなく
静しずかに墜おちてゆくものよ
或aのno日湯島聖堂hiyushimaseidouのno白shiroいi
石ishiのno階段kaidanにni腰koshiかけてkakete
君kimiはha陽溜hidamaりのrino中nakaへhe盗nusuんだnda
檸檬remon 細hosoいi手teでかざすdekazasu
それをsorewo暫shibaraくku
みつめたmitsumeta後atoでde
きれいねとkireineto云iったtta
後atoでde齧kajiるru
指yubiのすきまからnosukimakara蒼aoいi空soraにni
金糸雀色kanariairoのno風kazeがga舞maうu
喰taべかけのbekakeno檸檬remon
聖橋hijiribashiからkara放hooるru
快速電車kaisokudensyaのno赤akaいi色iroがga
それとすれsoretosure違chigaうu
川面kawamoにni波紋hamonのno拡hiroがりgari
数kazoえたあとetaato
小chiiさなsana溜息混tameikimaじりにjirini
振fuりri返kaeりri
捨suてte去saるru時tokiにはniha
こうしてkoushite出来dekiるだけrudake
遠tooくへkuhe投naげge上aげるものよgerumonoyo
君kimiはhaスクランブルsukuranburu交差点kousaten
斜nanaめにmeni 渡wataりri乍nagaらra
不意fuiにni涙namidaぐんでgunde
まるでこのmarudekono町machiはha
青春達seisyuntachiのno
姥捨山ubasuteyamaみたいだというmitaidatoiu
ねneェeほらそこにもhorasokonimo
ここにもkokonimo かつてkatsute
使tsukaいi棄suてられたterareta
愛aiがga落oちてるchiteru
時tokiのno流nagaれというretoiu名naのno鳩hatoがga
舞maいi下oりてrite
それをついばんでいるsorewotsuibandeiru
喰taべかけのbekakeno夢yumeをwo
聖橋hijiribashiからkara放houるru
各駅停車kakuekiteisyaのno檸檬色remoniroがga
それをかみくだくsorewokamikudaku
二人futariのno波紋hamonのno拡hiroがりgari
数kazoえたあとetaato
小chiiさなsana溜息混tameikimaじりにjirini
振fuりri返kaeりri
消kiえe去saるru時tokiにはniha
こうしてあっけなくkoushiteakkenaku
静shizuかにkani墜oちてゆくものよchiteyukumonoyo