春日山かすがやまから飛火野とぶひの辺あたり
ゆらゆらと影かげばかり泥なずむ夕暮ゆうぐれ
馬酔木あせびの森もりの馬酔木あしびに
たずねたずねた 帰かえり道みち
遠とおい明日あすしか見みえない僕ぼくと
足元あしもとのぬかるみを気きに病やむ君きみと
結むすぶ手てと手ての虚うつろさに
黙だんまり黙だまった 別わかれ道みち
川かわの流ながれは よどむことなく
うたかたの時とき 押おし流ながしてゆく
昨日きのうは昨日きのう 明日あすは明日あす
再ふたたび戻もどる今日きょうは無ない
例たとえば君きみは待まつと
黒髪くろかみに霜しものふる迄まで
待まてると云いったがそれは
まるで宛あて名なのない手紙てがみ
寝ねぐらを捜さがして鳴なく鹿しかの
後あとを追おう黒くろい鳥とり鐘かねの声ねひとつ
馬酔ばよいの枝えだに引ひき結むすぶ
行方ゆくえ知しれずの懸想文けそうぶみ
二人ふたりを支ささえる蜘蛛くもの糸いと
ゆらゆらと耐たえかねてたわむ白糸しらいと
君きみを捨すてるか僕ぼくが消きえるか
いっそ二人ふたりで落おちようか
時ときの流ながれは まどうことなく
うたかたの夢ゆめ 押おし流ながしてゆく
昨日きのうは昨日きのう 明日あすは明日あす
再ふたたび戻もどる今日きょうは無ない
例たとえば此処ここで死しねると
叫さけんだ君きみの言葉ことばは
必かならず嘘うそではない
けれど必かならず本当ほんとうでもない
日ひは昇のぼり 日ひは沈しずみ振ふり向むけば
何なにもかも移うつろい去さって
青丹あおによし平城山ならやまの空そらに満月まんげつ
春日山kasugayamaからkara飛火野tobuhino辺ataりri
ゆらゆらとyurayurato影kageばかりbakari泥nazuむmu夕暮yuuguれre
馬酔木asebiのno森moriのno馬酔木ashibiにni
たずねたずねたtazunetazuneta 帰kaeりri道michi
遠tooいi明日asuしかshika見miえないenai僕bokuとto
足元ashimotoのぬかるみをnonukarumiwo気kiにni病yaむmu君kimiとto
結musuぶbu手teとto手teのno虚utsuろさにrosani
黙danmaりri黙damaったtta 別wakaれre道michi
川kawaのno流nagaれはreha よどむことなくyodomukotonaku
うたかたのutakatano時toki 押oしshi流nagaしてゆくshiteyuku
昨日kinouはha昨日kinou 明日asuはha明日asu
再futataびbi戻modoるru今日kyouはha無naいi
例tatoえばeba君kimiはha待maつとtsuto
黒髪kurokamiにni霜shimoのふるnofuru迄made
待maてるとteruto云iったがそれはttagasoreha
まるでmarude宛aてte名naのないnonai手紙tegami
寝neぐらをgurawo捜sagaしてshite鳴naくku鹿shikaのno
後atoをwo追oうu黒kuroいi鳥tori鐘kaneのno声neひとつhitotsu
馬酔bayoiのno枝edaにni引hiきki結musuぶbu
行方yukue知shiれずのrezuno懸想文kesoubumi
二人futariをwo支sasaえるeru蜘蛛kumoのno糸ito
ゆらゆらとyurayurato耐taえかねてたわむekanetetawamu白糸shiraito
君kimiをwo捨suてるかteruka僕bokuがga消kiえるかeruka
いっそisso二人futariでde落oちようかchiyouka
時tokiのno流nagaれはreha まどうことなくmadoukotonaku
うたかたのutakatano夢yume 押oしshi流nagaしてゆくshiteyuku
昨日kinouはha昨日kinou 明日asuはha明日asu
再futataびbi戻modoるru今日kyouはha無naいi
例tatoえばeba此処kokoでde死shiねるとneruto
叫sakeんだnda君kimiのno言葉kotobaはha
必kanaraずzu嘘usoではないdehanai
けれどkeredo必kanaraずzu本当hontouでもないdemonai
日hiはha昇noboりri 日hiはha沈shizuみmi振fuりri向muけばkeba
何naniもかもmokamo移utsuろいroi去saってtte
青丹aoniよしyoshi平城山narayamaのno空soraにni満月mangetsu