名なも知しらぬ駅えきの待合室まちあいしつで
僕ぼくの前まえには年老としおいた夫婦ふうふ
足元あしもとに力無ちからなく寝ねそべった
仔犬こいぬだけを現世うつせみの道連みちづれに
小ちいさな肩かた寄よせ合あって
古新聞ふるしんぶんからおむすび
灰はいの中なかの埋火うずみびおこすように
頼たよりない互たがいのぬくもり抱だいて
昔むかしずっと昔むかし熱あつい恋こいがあって
守まもり通とおしたふたり
いくつもの物語ものがたりを過すごして
生いきて来きた今日きょう迄まで歩あるいて来きた
二人ふたりはやがて来くるはずの汽車きしゃを
息いきを凝こらしじっと待まちつづけている
都会とかいへ行いった息子むすこがもう
迎むかえに来くるはずだから
けれど急行きゅうこうが駆かけ抜ぬけたあと
すまなそうに駅員えきいんがこう告つげる
もう汽車きしゃは来きません とりあえず今日きょうは来きません
今日きょうの予定よていは終おわりました
もう汽車きしゃは来きません とりあえず今日きょうは来きません
今日きょうの予定よていは終おわりました
名naもmo知shiらぬranu駅ekiのno待合室machiaishitsuでde
僕bokuのno前maeにはniha年老toshioいたita夫婦fuufu
足元ashimotoにni力無chikaranaくku寝neそべったsobetta
仔犬koinuだけをdakewo現世utsusemiのno道連michiduれにreni
小chiiさなsana肩kata寄yoせse合aってtte
古新聞furushinbunからおむすびkaraomusubi
灰haiのno中nakaのno埋火uzumibiおこすようにokosuyouni
頼tayoりないrinai互tagaいのぬくもりinonukumori抱daいてite
昔mukashiずっとzutto昔mukashi熱atsuいi恋koiがあってgaatte
守mamoりri通tooしたふたりshitafutari
いくつものikutsumono物語monogatariをwo過suごしてgoshite
生iきてkite来kiたta今日kyou迄made歩aruいてite来kiたta
二人futariはやがてhayagate来kuるはずのruhazuno汽車kisyaをwo
息ikiをwo凝koらしじっとrashijitto待maちつづけているchitsuduketeiru
都会tokaiへhe行iったtta息子musukoがもうgamou
迎mukaえにeni来kuるはずだからruhazudakara
けれどkeredo急行kyuukouがga駆kaけke抜nuけたあとketaato
すまなそうにsumanasouni駅員ekiinがこうgakou告tsuげるgeru
もうmou汽車kisyaはha来kiませんmasen とりあえずtoriaezu今日kyouはha来kiませんmasen
今日kyouのno予定yoteiはha終oわりましたwarimashita
もうmou汽車kisyaはha来kiませんmasen とりあえずtoriaezu今日kyouはha来kiませんmasen
今日kyouのno予定yoteiはha終oわりましたwarimashita