ヨシムラ 歌詞 さだまさし ふりがな付

怖こわいものなしで生いきて来きたと思おもってた弟おとうとが
酒さけに酔よった勢いきおいで告白こくはくしたことがある
実じつは子供こどもの頃ころのこと 同おなじ町内ちょうないに住すんでいた
ヨシムラって奴やつが かなり怖こわかったということを

ヨシムラは確たしか僕ぼくより二ふたつほど年上としうえで
駄菓子屋だがしやの大人おとなしい息子むすこで 決けっしていじめっこではなく
僕ぼくはふとむしろ逆ぎゃくに 弟おとうとが彼かれに怪我けがをさせた騒さわぎと
ひたすら謝あやまるおふくろの背中せなかを思おもい出だしていた

懐なつかしきかな少年しょうねん時代じだいの 脇役わきやくたち
懐なつかしきかなワンパク時代じだいの仇役かたきやくたちよ

お袋ふくろはまだ若わかく 声こえも大おおきく手ても早はやく
叩たたかれて泣なきべそをかいていた弟おとうとも
みんな無邪気むじゃきだった あの頃ころ

実じつはそのあと故郷ふるさとへ帰かえる仕事しごとがあったので
本当ほんとうに久ひさし振ぶりにあの町まちを訪たずねてみた
学校がっこう沿ぞいの細ほそい道みちは更さらに狭せまくなってそこにあり
ヨシムラの駄菓子屋だがしやも相変あいかわらずそこにあった

何気なにげなく電話でんわをするふりで中なかを覗のぞいたら
すっかりおっさんになったヨシムラがそこに座すわっていたが
タバコをひとつ買かったら無愛想ぶあいそうに釣つりをくれた
ヨシムラ少年しょうねんは 僕ぼくを覚おぼえていなかった

懐なつかしきかな少年しょうねん時代じだいのときめきよ
懐なつかしきかなワンパク時代じだいのきらめきたちよ

原はらっぱも土管どかんもいじめっこも今いまはなく
思おもい出でだけが少すこしも歳としをとらずに
袋小路ふくろこうじに うずくまっていた