公園こうえんのD-51は
退職たいしょくしたあと
ほんのわずかばかりの レールをもらって
もう動うごかなくなった
父ちちは特別とくべつ他人たにんと違ちがった生いき方かたをして来きたわけではない
ただ黙々もくもくとむしろ平凡へいぼんに歩あるいて来きたのだ
戦争せんそうのさなかに青春せいしゅんを擦すり減へらし
不幸ふこうにも生いき残のこった彼かれは
だから生いきる事こともそれに遊あそぶ事こともあまり上手じょうずではなかった
そういう彼かれを僕ぼくも一度いちどは疑うたがい
否定ひていする事ことで大人おとなになった気きがした けれど
男おとこの重おもさを世間せけんに教おしえられて
自分じぶんの軽かるさを他人たにんに教おしえられて
振ふり向むいて改あらためて彼かれをみつめたら
やはり何なにも答こたえぬ無器用ぶきっちょな背中せなか
退職たいしょくの朝あさ彼かれはいつもと変かわらずに母ははのこさえた弁当べんとうを持もって
焦じれったい位くらいあたり前まえに 家いえを出でて行いった
母ははが特別とくべつ倖しあわせな生いき方かたをして来きたとも思おもえない
ただあの人ひとと長ながい道みちを歩あるいて来きたから
いつもと違ちがって彼かれの帰かえりを待まち受うけて
玄関先げんかんさきでありがとうと言いった
長ながい間あいだご苦労様くろうさまとあらたまって手てをついた
そういう彼女かのじょの芝居しばい染しみた仕草しぐさを
笑わらう程ほど僕ぼくはスレて無なかった様ようで そして
二人ふたりが急きゅうに老人ろうじんになった気きがして
うろたえる自分じぶんが妙みょうに可笑おかしくて
「おとうさん」「おかあさん」なんて懐なつかしい
呼よび方かたをふいに思おもい出だしたりして
父ちちは特別とくべついつもと変かわらずに静しずかに靴くつを脱ぬいだあと
僕ぼくを見上みあげて照てれた様ように ほんの少すこし笑わらった
公園こうえんのD-51は
愛あいする子供達こどもたちの
胸むねの中なかでいつでも 力強ちからづよく
山道やまみちをかけ登のぼっている
白しろい煙けむりを吐はいて 力強ちからづよく
いつまでも いつまでも
公園kouenのnoD-51はha
退職taisyokuしたあとshitaato
ほんのわずかばかりのhonnowazukabakarino レreールruをもらってwomoratte
もうmou動ugoかなくなったkanakunatta
父chichiはha特別tokubetsu他人taninとto違chigaったtta生iきki方kataをしてwoshite来kiたわけではないtawakedehanai
ただtada黙々mokumokuとむしろtomushiro平凡heibonにni歩aruいてite来kiたのだtanoda
戦争sensouのさなかにnosanakani青春seisyunをwo擦suりri減heらしrashi
不幸fukouにもnimo生iきki残nokoったtta彼kareはha
だからdakara生iきるkiru事kotoもそれにmosoreni遊asoぶbu事kotoもあまりmoamari上手jouzuではなかったdehanakatta
そういうsouiu彼kareをwo僕bokuもmo一度ichidoはha疑utagaいi
否定hiteiするsuru事kotoでde大人otonaになったninatta気kiがしたgashita けれどkeredo
男otokoのno重omoさをsawo世間sekenにni教oshiえられてerarete
自分jibunのno軽karuさをsawo他人taninにni教oshiえられてerarete
振fuりri向muいてite改arataめてmete彼kareをみつめたらwomitsumetara
やはりyahari何naniもmo答kotaえぬenu無器用bukitchoなna背中senaka
退職taisyokuのno朝asa彼kareはいつもとhaitsumoto変kaわらずにwarazuni母hahaのこさえたnokosaeta弁当bentouをwo持moってtte
焦jiれったいrettai位kuraiあたりatari前maeにni 家ieをwo出deてte行iったtta
母hahaがga特別tokubetsu倖shiawaせなsena生iきki方kataをしてwoshite来kiたともtatomo思omoえないenai
ただあのtadaano人hitoとto長nagaいi道michiをwo歩aruいてite来kiたからtakara
いつもとitsumoto違chigaってtte彼kareのno帰kaeりをriwo待maちchi受uけてkete
玄関先genkansakiでありがとうとdearigatouto言iったtta
長nagaいi間aidaごgo苦労様kurousamaとあらたまってtoaratamatte手teをついたwotsuita
そういうsouiu彼女kanojoのno芝居shibai染shiみたmita仕草shigusaをwo
笑waraうu程hodo僕bokuはhaスレsureてte無naかったkatta様youでde そしてsoshite
二人futariがga急kyuuにni老人roujinになったninatta気kiがしてgashite
うろたえるurotaeru自分jibunがga妙myouにni可笑okaしくてshikute
「おとうさんotousan」「おかあさんokaasan」なんてnante懐natsuかしいkashii
呼yoびbi方kataをふいにwofuini思omoいi出daしたりしてshitarishite
父chichiはha特別tokubetsuいつもとitsumoto変kaわらずにwarazuni静shizuかにkani靴kutsuをwo脱nuいだあとidaato
僕bokuをwo見上miaげてgete照teれたreta様youにni ほんのhonno少sukoしshi笑waraったtta
公園kouenのnoD-51はha
愛aiするsuru子供達kodomotachiのno
胸muneのno中nakaでいつでもdeitsudemo 力強chikaraduyoくku
山道yamamichiをかけwokake登noboっているtteiru
白shiroいi煙kemuriをwo吐haいてite 力強chikaraduyoくku
いつまでもitsumademo いつまでもitsumademo