『たやすくハッピーエンドなんかにするな』リリース!
──初めましてUtaTenです!よろしくお願い致します!
全員:よろしくお願い致します!
──ニューアルバム『たやすくハッピーエンドなんかにするな』は、衝撃的なタイトルですね!まず、このタイトルを付けられた意図をお聞かせください!
松本明人:最初に『おんなごころ』っていう曲が出来上がったので、そこから女性の心を歌っていくという所に指針を向けていったんです。それで、どういう女性の心を歌っていくかという方向性を決めているときに出会ったのがごめんさんという漫画家さんで。僕が直接、メールでオファーをしたところ「ぜひ!」とお返事をもらえて、そこから始まりました。
彼女の描く世界が、女性の恋愛や日常なんですけどなんだか救われないとか、日々に満足がいかないとか、そういったものを書いていたんです。僕が歌いたい情緒だったり、ある年代に刺さるリアルタイムな心情など、そういったものを歌おうと思って作っていきました。全ての作品が完成したときに、みんなで決めてこのタイトルにしました。
──今作では「ハッピーエンド」がキーワードになっていたりするんでしょうか。
松本明人:そうですね。「ハッピーエンド」っていうキーワードだけ摘まむと、幸せだったりするんですけど、「ハッピーエンド」に対しての皮肉感みたいなものも捉えられたりする。だけど、この作品自体全て相手がいるお話しなんですね。“自分の想いばっかりで良かった思い出にしないでよ!”っていう女性のメッセージがあるんですよ。あなたの恋愛は終わったかもしれないけど、私はあなたに対しての恋愛は終わってないからねという想いが込められています。
──その想いを聞いて、曲を聴くとまたイメージが変わりますね!良い意味で1回じゃわかりきれない曲が多い気がします。
松本明人:心情が込められているものが多いので、その人の気持ちが強すぎるから+して、漫画というものと、CDには小説も付いているので様々なメディアミックスで楽しんでもらえるようになっているんじゃないかと思います。
──作詞家の矢作さんは、よく制作でご一緒される事が多いんですか?
松本明人:元々、僕の10年来の知り合いなんです。前作の時に、歌詞のディレクションをしてもらっていたんですけど、前作から女性目線に切り替える準備段階だったんです。なので、女性の作詞家さんと一緒に制作することになって、今回は振り切ってみました。
──歌詞の作り方をお伺いしたいのですが、最初絵からインスパイアを受けて書かれるのですか?
松本明人:最初絵があってから歌詞を作ります。実はライブのときに、ごめんさんの絵が出てくるんですけど、それが本格的な漫画になっていまして。その漫画はライブでしか見れないんですよ!
──ライブでしか見れないんですね!もったいない…(笑)
全員:(笑)
──じゃあ、ライブに絶対行かなきゃいけないですね!!
松本明人:はい!ぜひお願いします!!
──その漫画は、今回のツアー全部に出るんですか?
松本明人:そうですね!ごめんさんの既存の絵にどんどん曲を書いていったんですけど、既存のものに書いた曲に、僕が新しい歌詞がついてアレンジされて、更にそこに新しい絵がついている流れになっています。
──今後も、ごめんさんと一緒に作品を作ってみたいなと思っていますか?
松本明人:僕は一つのアイコンになれれば良いなと思うので、一緒に出来たらいいですね。
──矢作さんと書いた歌詞について、皆さんにここはこういう思いで書いたんだよ!と共有されたりはするんでしょうか。
松本明人:チーム全体のグループLINEがあるんですけど、そこであーだこーだ言いましたね。
──「心の骨が外れる音を知っていますか?」というフレーズがとても気になりました!心の骨が折れるという言い回しもあり得るなと思ったのですが、なぜこのようなフレーズに仕上げたのでしょうか?
松本明人:なんで、外れるだと思いますか?(笑)
──わからないです…!!私、そもそも心の骨折れてないですし!!(笑)
全員:(笑)
松本明人:説明しますね。主人公には安心できる相手がいるんです。そしてその相手の元に帰ったときだけ、骨抜きになるような安心感が得られていて。心の骨が外れる音は聴こえてはいないけど、骨抜きにはなっていたと。
だがしかし、その相手を失ってしまったことによって、自分の凝り固まっている精神的な状態に気付くんですよね。そして、今まではあの人のおかげで、心の骨が外れていたんだと辿り着くことができるんです。
──骨が外れるは良い意味なんですね。
松本明人:そうです。脱臼じゃないです(笑)答え的なものは、CDについてくる小説に載っているので、そちらもぜひチェックして欲しいです。
──皆さん的には、小説を先に読むのか、曲を先に聴くのか、どちらがおススメですか?
MIZUKI:曲です。その後に小説を読んでもらって、また曲を聴いてもらうのが良いかなと思います。
高原未奈:私も同じくです。
松本明人:悩ましいですね。絵を見ながら曲を聴いて、どういう事なんだろう?って思ったら小説を見て欲しいです。
──アウトロのコーラスも思い出を振り返るのにちょうどいいです!
MIZUKI:ありがとうございます!!
極寒の地で半袖!究極のMV撮影
──『ただ今日を消化するために生きています。』のお話しに行きますが、前奏と間奏に入っている低めの音が良かったです!松本明人:ピアノの音ですね。めちゃくちゃ音をジャガジャガにして、歪ませているんですよ。そういう音にしたからピアノという概念がないのかもしれないですね!
──『ただ今日を消化するために生きています。』の音に対してのこだわりを教えてください。
高原未奈:その言って頂いたピアノと音とのバランスが難しかったです。あんまりベースを出しすぎたりすると、気持ち悪くもなっちゃうので。調整しました。イントロも結構複雑で、メインで鳴っているギターリフや、ピアノの音もあるんですけど、私とドラム、私とギターのグルーブも違うんですよね。
──忙しいんですね…
全員:(笑)
高原未奈:結構情報量が多い風にはなっていると思います。
MIZUKI:でも、インパクトを付けたいという想いからああいう音の形になりました。
──間奏のギターソロもとても耳に残りますね!あれを歌いながらやるのは凄いですね!
松本明人:ありがとうございます。ギターは一人しかいないので、弾くしかない(笑)
──ライブでどんな風にされるのか、楽しみですね!
松本明人:この曲が、ライブ全体の肝になりそうですね。
──この楽曲はライブをイメージして作られたんですか?
松本明人:こういうテイストの楽曲が我々にはなかったんですよ。だからこそ、これを押し出していいものなのか?と凄く悩みました。でもなんだかんだセカンドリードになった曲です。
──「干からびたカサブタ崩れた今では」という歌詞があって、なんだか痛そうですが、同曲のイラストの女の子の人物像はサバサバしてそうですね。
松本明人:この女の子は強くいたいんですよね。不感症って見せていたいんだけど、いちいち気になるし、人がいなきゃ成立しない。だけど一人が好き。すごくめんどくさい子です(笑)
──女の子にありがちですよね(笑)
松本明人:そうですね。でも凄く未来を見据えていて、本当はこうありたいんだ!っていう気持ちをちゃんと持っています。ただその気持ちが上手く吐き出せない人ですね。
──病んでますね(笑)
全員:病んでる(笑)
──MVでは、シーンが路上や、屋上、最後空き地などの変わったところで演奏されていますが、あの場所を選ばれた理由は?
松本明人:あれは完全に監督が決めてくれました。内容的には女性と男性のダンサーが踊り合うシーンがあって。サビでは女性が出てこないんですけど、そこで一つの答えが見えるんですよね。誰かっていうものがいないと、自分は成立できないという事を表現しているんですよね。
──MVのダンスで、Dメロの「だけど時々泣きたくなる」の所はめちゃめちゃエモーショナルですね!!あそこは泣けます!
松本明人:泣けますよね。
MIZUKI:ダンサーさんの表情がすごいです!
──この曲に限らず、Dメロで曲が急に変わると思ったんですけど、そこに対してのこだわりはあるんでしょうか?
松本明人:もうそこに力を入れた所はあります。歌が主軸としてあって、3人の音があって、ただ聴いていたらただ流れていくだけになってしまうんですけど、そこである一つのスパイスを入れることによって、楽しみが増えるんですよね。そこをプロデューサーの高慶さんとは話し合いましたね。
──作曲は、主にみなさんが担当されたんでしょうか?
松本明人:そうですね。
──このメロディーは日本人が絶対好きな感じだと思います!
松本明人:ありがとうございます。僕は今回、歌謡と演歌を入れ込みました。歌録りしたときは、ジュディ・オングさんを想像しましたね(笑)
──すごいですね(笑)ジュディ・オングさんまで入っているんですね!
全員:(笑)
──では、MVの撮影秘話を教えてください!
MIZUKI:寒かったですね。-2℃とかですもん。
高原未奈:大寒波が来たときに撮ったので、昼でも-2℃とかで…。私たち半袖だったので、寒かったです。
MIZUKI:ちなみに、空き地と言って頂いた場所は樹海です(笑)
──えええ!!
MIZUKI:めちゃくちゃ寒かったですよ!雪が降ってました。
──雪は科学の技術で消されたんですか?
松本明人:いや、たまたま止んだんですよ。
──そうだったんですね!撮影お疲れ様でした!!
MIZUKI:ありがとうございます!脊髄から震えました…(笑)
──そのぐらいの寒さじゃ、指とか動かないですよね。
高原未奈:もうプルプルしてて、勝手に指が震えていました。
松本明人:本当に血が凍っていくんですよ。
──この経験からまた曲が生まれそうですね(笑)
松本明人:(笑)ただ、死にそうですけどね!