ヨアソビ(YOASOBI)の曲には原作小説がある?
YOASOBI(ヨアソビ)が新曲を発表する度に、小説が話題になるのを不思議に思ったことはありませんか?実はYOASOBIは「小説を音楽にする」というコンセプトで活動しているユニットです。
プロジェクトの始まりとなったのは、ソニーミュージックが運営する小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」内で行なわれたコンテスト「モノコン2019」。
このコンテストで大賞を受賞した小説を楽曲化するため、ボカロPや歌い手として人気を獲得していたクリエイターのAyaseがコンポーザーに。
そして、表現力の高さで注目されていたシンガーソングライターのikuraをボーカルに迎え、ユニットが結成されることになりました。
当初のコンセプト通り、YOASOBIの楽曲はすべて小説を原作として制作されています。
楽曲単体で心を動かすだけでなく、原作について知るとさらに深いメッセージが伝わってくるところがYOASOBIの魅力です。
YouTubeの総再生回数が10億回を超え、勢いが止まらないYOASOBIの曲と、それぞれの原作小説を見ていきましょう。
小説「タナトスの誘惑」:夜に駆ける
YOASOBIの鮮烈なデビュー曲であり、空耳アワー的な英語版も話題となっている代表曲『夜に駆ける』。
この楽曲の原作は星野舞夜の『タナトスの誘惑』です。
死への誘惑をテーマにした重いストーリーを、あえてポップに表現して中毒性のある楽曲に仕上げています。
原作小説のあらすじや歌詞とのリンクに関しては、こちらの記事で詳しく解説されているのでぜひチェックしてみてくださいね。
▼▽チェック!
小説「それでも、ハッピーエンド」:ハルジオン
超没入エナジードリンク・ZONeのタイアップ楽曲として書き下ろされた3rdシングルの『ハルジオン』。
原作小説は、作家の橋爪駿輝が執筆した『それでも、ハッピーエンド』です。
ストーリーは、失恋の苦しみや仕事の忙しさで自暴自棄になった女性が、知り合いの個展に参加したことをきっかけに日常と考え方を変化させていくというもの。
ハルジオンには「追想の愛」という花言葉があり、小説で主人公が彼との思い出を回想するシーンと歌詞で彼を思う彼女の心情を繋ぐのにぴったりのタイトルです。
過去に縛られていた日々から未来へ駆け出していくようなメロディは、まさにハッピーエンドを象徴していますね。
小説「自分の胸に自分の耳を押し当てて」:怪物
7thシングル『怪物』は、フジテレビ系アニメ『BEASTARS』第2期オープニング主題歌に起用された楽曲。
人気コミックのアニメ化に伴い、作者の板垣巴留が『自分の胸に自分の耳を押し当てて』という短編小説を書き下ろしました。
肉食動物と草食動物が共存する世界に生きる肉食動物の目線で、自身の本能と草食動物との違いに戸惑いながらも大切な存在を守りたいと願う心情が描かれています。
『怪物』では物語の中の不安定な現実をダークに表現し、疾走感あるメロディに乗せた主人公のひたむきな思いとの対比に引き込まれるでしょう。
小説「たぶん」:たぶん
4thシングルとしてリリースされた『たぶん』の原作は、「埃っぽい朝のこと」というお題で執筆されたしなのの『たぶん』。
ある朝、同棲していた恋人が出て行った部屋で1人目覚めた主人公が、するはずのない物音を聞いて彼女への様々な感情を思い巡らすという内容です。
心理描写が見事な作品で、楽曲ではミドルテンポで切なさを高めた、寂しいのに前向きになれるラブソングになっています。
ヨアソビの原作小説初の映画化もされ、2021年11月に公開されました。
小説「獅子座流星群のままに」:優しい彗星
フジテレビ系アニメ『BEASTARS』第2期エンディングテーマである8thシングル『優しい彗星』の原作は、板垣巴留書き下ろしの『獅子座流星群のままに』です。
こちらは肉食動物を従える草食動物の目線で、異種族間の緊張と友情の形を描いています。
そのストーリーを忠実に従い、互いを大切に思う気持ちを感じさせる切なくも温かみのある楽曲に仕上げているのがヨアソビのすごいところ。
『優しい彗星』の歌詞では両方の心情がどちらも感じ取れるだけでなく、それぞれの名前がさり気なく入っていて、原作ファンなら絶対に泣ける名曲です。
漫画「ブルーピリオド」:群青
ブルボン・アルフォートミニチョコレートのCMソングに起用された5thシングル『群青』は、山口つばさ著の人気コミック『ブルーピリオド』にインスパイアされた楽曲です。
『ブルーピリオド』は美大を目指す高校生たちを主人公に、挫折を経験しながらも好きなことに没頭する強さや輝きを見せてくれます。
多くの読者を魅了した物語を歌詞に詰め込んで、疾走感あふれるメロディと共に情熱的な世界観を表した『群青』は、YOASOBIファンもベストソングとして挙げています。
合唱のパートで仲間がいることを感じさせるところも魅力で、葛藤しながらも夢に向かって励むすべての人の気持ちを代弁し、応援してくれるエールソングです。
小説「世界の終わりと、さよならのうた」:アンコール
Google Pixel 5/pixel 4aのCMソングに起用された、YOASOBI初のEP『THE BOOK』収録曲の『アンコール』。
『アンコール』の原作小説は水上下波の『世界の終わりと、さよならのうた』で、世界最後の日にある男女が出会い、残りの時間を音楽を奏でて過ごす様子を描いた作品です。
寂しさを感じさせるストーリーですが、不思議と癒やされるピアノの音色が希望を持たせる楽曲となっています。
ありふれた日常の輝き、人との繋がり、小さくても確かにある音楽の力といったポジティブなメッセージを表現した歌詞に、2人が幸せそうにセッションする姿が重なります。
小説「夢の雫と星の花」:あの夢をなぞって
ダイハツ・タフトのCMソングに起用されている2ndシングル『あの夢をなぞって』の原作小説は、いしき蒼太の『夢の雫と星の花』です。
夏の夜の花火大会がテーマで、予知夢を見る家系に生まれた女子高生が幼馴染から告白される夢を見たことをきっかけに、甘酸っぱい恋模様が展開していきます。
2人のピュアな想いをストレートに綴った歌詞と、透明度抜群のikuraの歌声がぴったりハマり、夏の爽やかさを感じられます。
願いが現実になるか分からない不安感から恋のキラキラした様子へ変わるメロディが印象的で、聴けばきっと恋をしたくなる楽曲です。
小説「RGB」:三原色
NTTドコモ・ahamoのCMソングである10thシングル『三原色』は、劇団ノーミーツを主宰する演出・脚本家の小御門優一郎が綴った、小説『RGB』が原作です。
「繋がり」をテーマに、些細なことがきっかけで疎遠になっていた3人の幼馴染が、大人になって再会するまでを描いたストーリーとなっています。
立場や感情の変化と、その中でも変わらない友情の美しさを描いた原作から青春のみずみずしさを引き出したのが『三原色』。
大切な友達と会う時の期待感や明るい気分を表すようなフレッシュな楽曲です。
小説「めぐる。」:もう少しだけ
フジテレビ系『めざましテレビ』の2021年度テーマソングとして書き下ろされた、9thシングル『もう少しだけ』の原作小説は、千春の『めぐる。』です。
年齢も日々の生活も全く違う3人の男女が、朝のニュースで見た占いコーナーの「いつもはしないことに挑戦」という言葉に従ったことで小さな幸せが巡っていく様子を描いています。
閉鎖的になるコロナ禍の中で起こる、些細な喜びの連鎖をヨアソビは爽やかで軽快なピアノポップのメロディと優しい歌声で表現していますよ。
原作で感じられる憂鬱な朝を明るく照らすような、前向きなメッセージが伝わってくるようです。
ヨアソビ(YOASOBI)は小説を音楽にするユニット!
ヨアソビ(YOASOBI)は原作小説の魅力を抽出しながら、独自の世界観を作り出すユニットです。キャッチーな音楽とワードセンス抜群の歌詞により、日本のみならず世界にまで人気を広げています。
新曲が公開されたら、ぜひ歌詞と一緒に原作小説をチェックして、原作者とYOASOBIが織り成す新しい世界に没入してくださいね!